研究課題/領域番号 |
23390114
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
竹田 誠 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 部長 (40311401)
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キーワード | 感染症 / 微生物 / ウイルス |
研究概要 |
本研究は、宿主の気道に発現している膜タンパク型セリンプロテアーゼによる急性呼吸器感染症ウィルス(インフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルス)の膜融合タンパク質活性化機構を解明することを目的にしている。具体的には、膜タンパク型セリンプロテアーゼのうちTMPRSS2にまずは着目し、(1)TMPRSS2に対するウイルス膜融合タンパク質の基質特異性を明らかにし、(2)TMPRSS2ノツクアウトマウスやTMPRSS2が感受性変異組換えウイルスを利用して肺炎発症におけるTMPRSS2の重要性を解明することを計画した。 TMPRSS2で開裂を受けるタンパク質のアミノ酸配列の比較から、TMPRSS2で開裂される基質のP1~P3位のアミノ酸はRSQという特徴的な配列があることを明らかにした。パラインフルエンザウイルス(センダイウイルス)Fタンパク質のこの領域のアミノ酸に系統的な変異を導入した組換えセンダイウイルスを作成し、TMPRSS2への感受性や、ウイルスの増殖性を解析した。その結果、P2位のS、P3位のQともに、トリプシンによるウイルス増殖の活性化には、あまり重要ではないが、TMPRSS2による活性化には、重要であることが明らかになった。この結果は、急性呼吸器感染症ウイルスが、TMPRSS2で活性化を受けるように進化してきたことを示唆している。来年度は、この変異ウイルスのマウス感染実験を計画している。また、TMPR-SS2ノックアウトマウスは、F1のオスとメスを合計10匹作出することに成功し、現在、最終-的な交配を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
組換えウイルスならびにノックアウトマウスの作出に予定通り成功した。また、膜タンパク型セリンプロテアーゼTMPRSS2の基質特異性を決めるアミノ酸の同定に成功した。
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今後の研究の推進方策 |
現在、パラインフルエンザウイルス(センダイウイルス)を用いて、順調に研究が進行している。今後は、組換えセンダイウイルス、TMPRSS2ノックアウトマウスを用いた動物実験を進めていって、病原性発現への関与を明らかにする。また、センダイウイルスに加えて、インフルェンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスについて同様の実験を推進する。現在のところ、研究は非常に順調に進んでおり、研究遂行の上での問題点はない。
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