研究課題/領域番号 |
23390114
|
研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
竹田 誠 国立感染症研究所, ウイルス第三部, 部長 (40311401)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | ウイルス / 感染症 / 開裂 / プロテアーゼ / 病原性 / 膜融合 |
研究概要 |
膜タンパク型セリンプロテアーゼによるインフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスの膜融合タンパク質活性化機構を解析する。細胞内でプロテアーゼが働く場所と、ウイルス膜タンパクと会合する機構の解明を目指す。膜タンパク型セリンプロテアーゼノックアウトマウスやプロテアーゼ感受性変異組換えウイルスを利用して肺炎発症における膜タンパク型セリンプロテアーゼの病原性発現における重要性を解明する。 (1)TMPRSS2による開裂性を決めるウイルス膜タンパク質アミノ酸残基の特定やウイルス増殖や病原性発現における重要性の解明 TMPRSS2で開裂される基質のP1~P3位のアミノ酸は特徴的な配列(QSR)がある。マウスパラインフルエンザウイルス(センダイウイルス)のFタンパク質のQSR配列に系統的な変異を導入し、ウイルスの増殖性を解析した。その結果、センダイウイルスは、TMPRSS2依存的に増殖し、その場合、P2位のS、ならびにP3位のQともに、効率の良い増殖のために必須であることが明らかになった。 (2)ノックアウトマウスを用いたTMPRSS2の病原性発現における重要性の解析 TMPRSS2ノックアウトマウスの作出に成功した。現在、センダイウイルスの感染実験を実施した。その結果、高力価のセンダイウイルスの接種においては、TMPRSS2ノックアウトマウスにおいても、肺炎が発症することが明らかになった。現在、他のウイルスや、低力価のウイルス接種による効果を解析中である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通りノックアウトマウスの作出に成功した。 予定通り組換えウイルスの作出に成功し、重要なアミノ酸の特定に成功した。 現在までにマウスパラインフルエンザウイルスの感染実験を実施できた。予定通り、来年度には、その他のウイルスの感染実験や、ウイルス量を変えたセンダイウイルスの感染実験も実施できると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究計画は、非常に順調に進行している。来年度は、動物実験が多くなると思われる。ABSL3での実施が必要なウイルスもあるので、慎重な実施が必要である。インフルエンザウイルス(H1、H3、H5、H7亜型)、SARSコロナウイルスなどの感染実験も計画している。実験は順調に進むと予想されるが、来年度中に論文としてまとめることが課題である。
|