研究課題
膜タンパク型セリンプロテアーゼによるインフルエンザウイルス、パラインフルエンザウイルス、ヒトメタニューモウイルスの膜融合タンパク質活性化機構の解明を目的に実験を行った。膜タンパク型セリンプロテアーゼTMPRSS2ノックアウトマウスやプロテアーゼ感受性変異組換えウイルスを利用して肺炎発症における膜タンパク型セリンプロテアーゼの病原性発現における重要性を解析した。(1)TMPRSS2による開裂性を決めるウイルス膜タンパク質アミノ酸残基の特定やウイルス増殖や病原性発現における重要性の解明:TMPRSS2で開裂される基質のP1~P3位のアミノ酸は特徴的な配列(QSR)がある。マウスパラインフルエンザウイルス(センダイウイルス)のFタンパク質のQSR配列に系統的な変異を導入し、ウイルスの増殖性を解析した。その結果、センダイウイルスは、TMPRSS2依存的に増殖し、その場合、P2位のS、ならびにP3位のQともに、効率の良い増殖のために必須であることが明らかになった。(2)ノックアウトマウスを用いたTMPRSS2の病原性発現における重要性の解析:TMPRSS2ノックアウトマウスの作出に成功した。センダイウイルスの感染実験を実施した。その結果、高力価のセンダイウイルスの接種においては、TMPRSS2ノックアウトマウスにおいても、肺炎が発症することが明らかになった。しかしながら、ウイルスの量やウイルスの株を変えることにより、センダイウイルスのマウス肺内での増殖にTMPRSS2が重要な役割を担っていることが明らかになった。一方、インフルエンザウイルスH1N1のマウス肺内での増殖にTMPRSS2は必須であることが証明できた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Virology
巻: 87 ページ: 11930-5
10.1128/JVI.01490-13