研究概要 |
昨年度までにヒトSCARB2を発現するトランスジェニックマウスモデル(C57BL/6 Tg(hSCARB2)10, 16, 22,並びに 24系統)を作製し、これらのマウスがEV71感受性を示し、ヒトと類似の中枢神経内の部位に病変を生じることを示した(Fujii et al 2013 PNAS)。さらにTg10系統を用いて2つの株Isehara株とBrCr株の病原性を評価したところ、株によって病原性の強さが異なり、Isehara株の方が毒力が高かった。これらの事実はSCARB2-tgマウスモデルを用いて、分離株の毒力を評価できる可能性を示していた。 そこで今年度はTgマウスによって測定したウイルスの病原性の程度が霊長類モデルであるカニクイザルでも同様に示されるかどうかを調べるために、上記2種類の株についてカニクイザルに対する接種実験を行った。サルを用いた実験は時間が掛かるため現在病理学的、ウイルス学的解析が進行中である。 また、さらに6種類の分離株(SK-EV006株、C7 Osaka株、Nagoya株、Bulgaria株、Hungary株、NETH株)についてTgマウスで病原性の強さの違いを調べた。これらの合計8種類のウイルス株においても毒力の違いを判別することができ、Isehara, Nagoya > SK-EV006, C7 Osaka, Bulgaria > Hungary, NETH, BrCrとなった。これらの結果をもとにウイルスの毒力を決定する遺伝情報の同定を試みている。
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