研究課題
Enterovirus 71 (EV71)の神経病原性の分子基盤をヒトSCARB2を発現するトランスジェニックマウスモデルを用いて明らかにすることを研究目的としている。hSCARB2 Tg10系統はEV71を接種するとヒトと類似の中枢神経病変を生ずることが昨年度までに確認できている。このマウスモデルを用いて、神経病原性に関与するEV71の遺伝情報の検索を行った。サックリングマウスモデルを用いてEV71 VP1 145番目のアミノ酸の変異により病原性が異なることがこれまでに報告されている。それによるとGly(G)であるものに比べて、Glu(E)であるものが病原性が高いとされているが、これは VP1 145Eのウイルスがサックリングマウスに発現している未知の分子を受容体として利用可能になったためにおこったhost range adaptation と考えられており、ヒトSCARB2に依存した感染の毒力を反映するものか否かは不明である。この変異の毒力の変化をtgマウスモデルを用いて検証した。SK-EV006株、C7 Osaka株、Nagoya株、Isehara株について二つのアミノ酸をもつ株を作製し、マウスに接種した。adult nonTgマウスではG、E株ともに病原性は示さず、hSCARB2 Tg10ではVP1 145 E株ははVP1 145G株よりも高い病原性を示した。このことからこのアミノ酸変異は一般的にSCARB2依存的な感染を起こす場合においても毒力に関与するアミノ酸であることが示された。どのようなメカニズムによって毒力の変化が起こっているかについてはさらに検討中である。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Emerg. Microbes Infect
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http://www.igakuken.or.jp/neurovirology/