研究課題/領域番号 |
23390130
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
福原 俊一 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30238505)
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研究分担者 |
林野 泰明 天理医療大学, その他部局等, 研究員 (70432383)
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キーワード | 医療・福祉 / 医療の質 / 慢性腎臓病 |
研究概要 |
1.診療の質を半自動的に測定するためのスコアリングプログラムを作成 従来の診療の質指標は、測定時にカルテレビューが必要で、多大な労力とコストがかかるため、診療現場で活用することが困難であった。また、医療者に対して測定結果を迅速にフィードバックすることも困難であった。そこで、本研究で作成したスコアリングプログラムは、電子診療情報(レセプトデータ、検査データ)を活用して、カルテレビューを要せず、迅速に診療の質指標を測定・フィードバックすることを目的とした。レセプトデータ、検査データは、多くの施設で電子データとして保存されているが、そのままの状態では解析出来ない。1患者当たり複数回にわたって測定されたデータが複数のファイルに分断されて存在する複雑なデータ構造のため、これらを整理・統合して、解析可能なデータセットを作成する必要がある。これらの作業は医療者にとって敷居が高く、専門家によるサポートが必要であった。本研究で作成したスコアリングプログラムは、統計解析ソフトウェアであるRを利用して、プログラミングに不慣れな医療者でもマウス操作で解析用データセットを作成し、容易に診療の質指標を算出可能とした。本研究は、従来十分に活用されていなかった電子診療情報を医療現場で活用可能なモデルを提示することが出来る。今後、医療現場を主体とした臨床研究の推進に繋がることも期待される。 2.システム導入施設において診療の質の測定を試行 開発したスコアリングプログラムを利用して、モデル病院において診療の質を算出し、実証実験とした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
利用するデータベース本体を仕様変更して多施設対応したため、当初計画を変更して平成24年度にスコアリングプログラムの作成、モデル施設での質指標測定を試行した。 本研究で利用するデータソースは、レセプトデータと検査データであり、前者は標準化されているが、後者は施設間で測定方法、結果の入力形式などが異なり、標準化作業に時間を要した。また、作成した解析用データセットのエラーチェックを繰り返し行う必要があった。以上の理由により、スコアリングプログラム作成が当初の予定よりやや遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
診療の質指標のばらつきを測定し、そのばらつきに関連する要因を探索するモデルプロジェクトを実施予定である。診療の質指標の改変の伴い、スコアリングプログラムにも若干の修正が必要となる可能性がある。また、汎用性の高いスコアリングプログラムに改良していく必要もある。 今後、モデル病院以外にも本研究で開発したシステムを運用するために、データサーバーを中央化する必要もある。 以上の改良を平成25年度中に実施予定である。
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