研究課題/領域番号 |
23390133
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
梯 正之 広島大学, 医歯薬保健学研究院, 教授 (80177344)
|
研究分担者 |
井上 仁 鳥取大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (00176439)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
|
キーワード | 感染症予防 / 学校保健 / IT |
研究概要 |
本研究は、感染症流行の核となることの多い学校(小学校・中学校・高等学校など)を中心に据えて、重要な感染症の流行状況を即時的に把握し、その地域の流行状況を速やかに分析し、状況の報告と今後の予測を遅滞なく還元できるインターネット(Web)上のシステムにより、新興感染症・従来型の感染症への適切な予防システムの開発を目指すものである。これにより、従来から常在する感染症ばかりでなく、新型(新興)感染症にも対応可能なものとすること、予測の精度を担保するためこれまでに蓄積されてきた感染症の流行データを最大限活用し予測のアルゴリズムを確立することに留意し、実証実験による評価を得て社会的に有用な情報提供システムとして実用化できるモデルの開発を目指す。 本年度は、当初、1)地域間「感染距離」の計算と流行予測アルゴリズムの開発、2)学校での流行データを収集・集計し、分析・予測するシステムの予備的開発を行う予定であった。1)については、「地域間「感染距離」の計算と流行予測アルゴリズムの開発」を行うため、解析に使用するデータを、データベースの形に整備し解析を効率的に行える環境を作るとともに、特定の都道府県の各学校の流行データを解析用に整備し、流行様式の分析を行った。また、実際のシステムにおいて学校単位での予測などが可能であることが利用者にとって価値が大きいと考えられたので、より詳細なデータを入手して精密な予測も可能にするよう追加解析を行うこととし、詳細な分析をおこなった。2)については、「学校での流行データを収集・分析・予測するシステムの開発」の予備的基盤整備については、基盤となるサーバを用意し、上記感染症流行データとその解析結果を表示できるサイトを公開できる環境を整備した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の今年度の課題は、「地域間「感染距離」の計算と流行予測アルゴリズムの開発ならびに「学校での流行データを収集・分析・予測するシステムの開発」の予備的基盤整備であった。まず、「地域間「感染距離」の計算と流行予測アルゴリズムの開発に関しては、まず、解析に使用するデータを、データベースの形に整備し解析を効率的に行える環境を作ることを行った。これにより全国の流行情報を時系列によりグラフとして表示することができ隣接の都道府県との同時比較により流行の同期性やずれを容易に把握することが可能になり、全体の傾向を把握できた。また、特に局所的なスケールで流行解析を詳細に行うため、特定の都道府県の各学校の流行データを解析用に整備し、流行様式の分析を行った。全体の傾向を説明できる基本となる流行モデルを作成するとともに、学校・学級閉鎖による流行拡大阻止の効果について分析可能となった。また、湿度など気象条件の影響について分析することができた。しかし、データの構造上、学校単位の詳細な流行モデルを構築することができないことが判明したので、それが可能になるようにデータをより詳細に把握し、解析を進めた。「学校での流行データを収集・分析・予測するシステムの開発」の予備的基盤整備については、基盤となるサーバを用意し、上記感染症流行データとその解析結果を表示できるサイトを公開できる環境を整備した。しかし、広島県下の各学校のデータを即時的に収集・分析し、結果を速やかに提供する部分の開発が遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究は、感染症流行の核となることの多い学校(小学校・中学校・高等学校など)を中心に据えて、重要な感染症の流行状況を即時的に把握し、その地域の流行状況を速やかに分析し、状況の報告と今後の予測を遅滞なく還元できるインターネット(Web)上のシステムにより、新興感染症・従来型の感染症への適切な予防システムの開発を目指すものである。これにより、従来から常在する感染症ばかりでなく、新型(新興)感染症にも対応可能なものとすること、予測の精度を担保するためこれまでに蓄積されてきた感染症の流行データを最大限活用し予測のアルゴリズムを確立することに留意し、実証実験による評価を得て社会的に有用な情報提供システムとして実用化できるモデルの開発を目指している。 課題である、1)地域間「感染距離」の計算と流行予測アルゴリズムの開発、ならびに2)学校での流行データを収集・集計し、分析・予測するシステムの予備的開発について、一定の成果を得ることができたので、今後これをもとに、残っている課題を解決しつつ、次の課題である、アルゴリズムの確立と本格的システムの開発につなげたい。実際のシステムでは、入出力に協力いただく方にとって不便な思いをせずに利用していただけるようインターフェースを工夫する。
|