研究課題/領域番号 |
23390138
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
桂 敏也 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10283615)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 薬学 / 生理学 / 薬物動態学 / トランスポータ |
研究概要 |
種々薬物トランスポータの構造・機能解析が進められ、個々の薬物動態学的意義が明らかにされつつあるが、薬物トランスポータ基質の体内動態特性が個体レベルで異なる例も多く見受けられる。また、薬物トランスポータの内因性基質が見いだされ、生理学的にも重要な役割を果たしている例も報告されている。本研究では、腎薬剤排出系の薬物動態学的、生理学的意義を解明し、新薬開発における基礎的情報の提供や生体の恒常性維持機構を明確にすることを目的として検討を進めた。 Mate1ノックアウトマウスを用いて、種々カチオン性化合物の体内動態解析を実施したところ、MATEによって輸送されることが明確な薬物であっても、その体内動態への寄与が異なり、尿中排泄にもほとんど寄与していない場合もあることが判明した。また、薬物によりMATEを介した組織移行にも差異が認められることが明らかとなった。一方、新生児の発達過程での腎臓におけるトランスポータの発現変動とそれに伴う薬物分泌能の変化についても明確にした。また、BCRPの機能欠損により、分子標的抗がん薬スニチニブの体内動態が大きく変動し、その副作用発現に影響することを見いだした。本研究の遂行によって、ノックアウトマウス等で得られた個体レベルでの動態特性の情報と化合物側の情報を集積し,モデル構築を行うことで、今後の新薬開発段階における動態予測などに有用な情報を与えることが可能となるものと考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
MATEの薬物動態学的意義の解明に関しては、Mate1ノックアウトマウスを用いた多様な化合物の動態解析が順調に進行しており、おおむね問題はない。
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今後の研究の推進方策 |
Mate1ノックアウトマウス等を用いた個体レベルでの解析と、in vitroでの解析結果を集積し、MATEを介した輸送のモデル構築を行うことで、MATE基質の動態予測法の開発などを進めるとともに、内因性物質の動態解析によるMATEの生理学的意義の解明に注力する。
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