研究課題/領域番号 |
23390139
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
松田 敏夫 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (00107103)
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研究分担者 |
吾郷 由希夫 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 助教 (50403027)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | Na+/Ca2+交換系 / 一酸化窒素(NO) / 細胞障害 / 環境要因 / 精神機能 |
研究概要 |
種々の病態と関連している一酸化窒素(NO)のNa+/Ca2+交換系(NCX)に対する作用の分子機構を明らかにすることを目的とし、脳NCX安定発現細胞系においてNOとNCXの相互作用について検討し、24年度は以下の成果を得た。 1.脳NCX安定発現細胞株でのNOとNCX相互作用の解析 NCXの一過性発現細胞の作製に続き、安定発現細胞の作製を行った。これらの細胞において、NOの細胞障害について検討したが、発現細胞のNO感受性は非発現細胞と同様であった。また、安定発現細胞のセルフリー系でPKGによるNCXリン酸化について検討したが、抗リン酸化セリン/スレオニン抗体を用いる系ではNCXのリン酸化は検出できなかった。これらの成績は、NOのNCXに対する作用が直接的な相互作用でなく、関節的なものであることを示唆する。 2.遺伝子・環境因子相互作用のNO-NCXシグナルに対する作用解析 環境要因の作用について、胎児期バルプロ酸(VPA)投与が成熟期に自閉症様の症状を示すことを明らかにしている。このVPA投与の脳NCXに対する作用を検討した結果、投与後6時間でNCX1発現の減少とNCX2発現の増加を見出した。本成績は、VPA誘発発達障害にNCXが関わっている可能性を示している
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
安定発現細胞の作製に成功し、in vitroでの検討課題を実施した。結果は予想外にも直接的相互作用が見られなかったが、今後は間接的な作用について検討する。また、環境要因に関する課題については、発達障害モデルでNCXが発現変動をするという成績を得た。今後はこの意義についてさらに追究する。
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今後の研究の推進方策 |
NOとNCXの相互作用が間接的であることが示されたので、今後はこの間接的な作用に焦点を絞ってさらに追究する。具体的には、セルフリーの系で放射性のATPを使ってNCX以外のリン酸化について検討する。また、発育期環境要因の精神機能に対する作用におけるNCXの関与について、その発現変化を検討する。
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