研究課題/領域番号 |
23390142
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
丸山 徹 熊本大学, 薬学部, 教授 (90423657)
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研究分担者 |
小田切 優樹 崇城大学, 薬学部, 教授 (80120145)
渡邊 博志 熊本大学, 薬学部, 准教授 (70398220)
異島 優 熊本大学, 薬学部, 助教 (00457590)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | アルブミン / 一酸化窒素 / 癌治療 |
研究概要 |
一酸化窒素(NO)はシグナル分子でユニークかつ多様な生物活性を有しており、癌治療への応用が切望されているが、臨床応用に際しては体内動態制御が課題となっている。本研究では、これまで申請者が長年研究してきたヒト血清アルブミン(HSA)分子へナノ技術を導入したHSAナノ粒子(重合体、ナノカプセル及び磁性体)をNOトラフィックシステムの担体に活用し、①殺細胞効果、②化学療法増感・耐性克服作用、③放射線治療増感効果、を併せ持つDDS製剤を開発して、集学的癌治療へ応用することを目的としており、本年度は、①NO付加HSAナノ粒子の抗腫瘍活性増感作用の検討を行った。 その結果、現在、高分子抗癌剤の腫瘍部位移行性増大作用を有するSNO-HSA Dimerを用いて、分子サイズの最適化(30 nm)や投与設計に関する詳細な知見を得ることに成功している。また、併用する高分子抗癌剤の検討を始めており、既存の高分子抗癌剤であるドキシルやアブラキサン等の併用効果を検討中である。今後難治性の癌種モデルにおいても同様に効果があるのかを検証していくことを予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の予定として、本年度行うべき項目は、以下の3点としていた。 ①NO付加HSAナノ粒子の抗腫瘍活性増感作用の検討、② NO付加HSAナノ粒子の放射線感受性増感作用の検討、③ NO付加HSAナノ粒子のin vivo 安全性評価 これまでに①と③の項目をある程度完了しているが、②に関しては、まだ検討を始めていない。これは、研究の遅れというよりも、研究を遂行していく中で、興味深い新たな可能性を見出しているために、その検討を並行して行っていることが原因であり、特に本研究においての進展が遅いという訳ではないと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、上記昨年の実施予定であった項目のまとめと以下の項目を重点的に行っていく予定としている。 ①NO付加HSAナノ粒子の放射線感受性増感作用の検討 ②改良型NO付加HSAナノ粒子の開発 ①に関しては、防衛医大の木下先生との共同研究にて、すでに遂行している段階であり、②に関しては、静岡県立大の岩尾先生との共同研究にて材料の提供を行い、ナノ粒子の作製を依頼している。 以上のことから、今後の研究に支障を来すような要因はないと考えている。
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