研究課題/領域番号 |
23390143
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研究機関 | 兵庫医療大学 |
研究代表者 |
東 純一 兵庫医療大学, 薬学部, 教授 (30144463)
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研究分担者 |
増山 理 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (70273670)
竹本 恭彦 大阪市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (20364002)
伊藤 崇志 兵庫医療大学, 薬学部, 助教 (80423119)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 抗凝固薬 / ワルファリン / ゲノム薬理学 / 前向き臨床試験 / 遺伝子多型 |
研究概要 |
本研究では、臓器血栓塞栓症の予防のためにワルファリン導入が必要な者を対象に、「遺伝子情報によるワルファリン維持投与量の適正化が治療の効率化に繋がるか」を前向き臨床試験により検証する。 本年度はまず、被験者数の増加を目指し新たな試験実施医療機関の追加を行った。追加する実施医療機関の担当医師に対して、臨床試験を進める上での手順、症例報告書の記載方法などを説明するなど、円滑に臨床試験が始めることができるように配慮した。現在、実施医療機関は7施設となっており、被験者の増加を見込める状態になった。 一方、コホート研究によるワルファリン投与量に影響を与える新たな遺伝子多型の探索については、日本人に最も多く存在するCYP2C9 *1/*1, ビタミンKエポキシド還元酵素複合体1(VKORC1)-1639 A/A群内でのワルファリン維持投与量のばらつきに着目し、検討を行った。CYP2C9 *1/*1, VKORC1 -1639 A/A群でワルファリン維持投与量が最も高い被験者から順に5名を選出し、CYP2C9、VKORC1の全エキソンシークエンスを行った。しかしながら、アミノ酸置換を伴う変異を見つけることはできなかった。 また新たな因子として、ビタミンKエポキシド還元酵素のサブユニットと推測されているエポキシドヒドロラーゼ1(EPHX1)に注目した。コホートの被験者を対象にEPHX1 His139Arg(A416G)を判定したところ、 CYP2C9 *1/*3, VKORC -1639 A/A群について、EPHX1 His139Arg遺伝子型間で有意なワルファリン維持投与量の差が認められた(His/His vs. His/Arg + Arg/Arg, 2.75±0.25 mg/day vs. 1.31±0.52 mg/day, p=0.006)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前向き臨床試験については、被験者のエントリーが当初の予定より少なく、順調に進んでいるとは言い難い。しかし、平成24年度にも新たに臨床試験に協力する病院を増やすことができたため、今後、エントリー数の増加を見込める状況となった。 一方、コホート研究によるワルファリン投与量に影響を与える新たな遺伝子多型の探索においては、当初より予定していた遺伝子多型の解析は順調に進んでおり、一定の成果を上げている。
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今後の研究の推進方策 |
被験者エントリーを促すために、メーリングリストの作成や実施施設への訪問、実施施設間の交流等を図り、実施施設が積極的に臨床試験へ参加する体制を強化する。 一方で、遺伝子多型の探索においては、現状ではワルファリン投与量に影響する新たな遺伝子多型の同定には至っていないため、引き続きシークエンス解析等の検討を進展させる。
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