研究概要 |
1.RETチロシンキナーゼ遺伝子のがん化に関する寄与と肺がん細胞におけるvandetanibによる細胞増殖抑制効果の検討 1-1RET遺伝子によるがん化の確認 がん遺伝子の機能解析で用いられている一般的な方法として,マウス線維芽細胞NIH-3T3細胞での強制発現によるcontact inhibition(接着阻止,正常細胞は培養皿で密になると増殖をやめる)の喪失やsoft agarでのコロニー形成(正常の接着性細胞は,足場のない軟寒天では増殖できない)がある.われわれは,RET遺伝市単独によるtransformを確認した.これはRET遺伝子過剰発現が単独で肺におけるがん化に寄与することを示すものである. 1-2RET過剰発現細胞のvandetanibによる増殖能への影響の検討 RETはEGFR,VEGFR他も阻害するmulti-targetのチロシンキナーゼ阻害薬vandetanibの標的の一つであることが報告されている.肺がん細胞株ではRETの発現量とvandetanibのIC50の間にほぼ負の相関があり,RETの発現量がvandetanibの感受性の指標となることが示唆された. 2.非受容体型チロシンキナーゼX(TK-X)の過剰発現と肺がん 肺がんでの系統的チロシンキナーゼの発現解析から,過剰発現のあるチロシンキナーゼの5'配列をRACE法で決定したところ,TK-Xが近傍の遺伝子とキメラトランスクリプトを精製していることを発見した.TK-xを過剰発現している肺がん細胞株でも同様のキメラトランスク,リプトを認め,siRNAを用いてTK-xの発現抑制を行ったところ,アポトーシスを生じることを確認した.これは,TK-Xが癌の分子標的となることを示唆するものである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RETチロシンキナーゼについては,国内外の3つのグループから先に報告されてしまったが,我々のグループでは,キメラ形成を必ずしも必要としないことを確認しており,免疫染色による頻度やなどの検討を終え,現在投稿準備中である.また,このほかのチロシンキナーゼについても,過剰発現している細胞株において,siRNAによる発現抑制がアポトーシスを引き起こすことを確認し,投稿準備に入っている.
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今後の研究の推進方策 |
ほぼ当初の予定通りに研究を実行することが出来るものと考える,RETチロシンキナーゼについては,今後vandetanibが国内での承認,肺がんへの適応が認められれば,,免疫染色と奏功性にとの相田についても解析を行うことが出来るものと考えている.
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