研究課題
免疫応答制御因子の遺伝子多型を解析することにより自己免疫疾患の発症予知診断法の開発を試みた。1.Th1及びTh2細胞のマスター遺伝子(TBX21、HLX、GATA-3)の多型T-box21 (TBX21)とH2.0-like homeobox (HLX)はTh1細胞の分化に関連する転写因子で、GATA-binding protein 3 (GATA-3)はTh2細胞のマスター転写因子である。今回、TBX21-1514T/C (rs17250932)・-1993T/C (rs4794067)多型、HLX-742C/G (rs2184658)多型およびGATA3-1420G/A polymorphism (rs1269486)多型を橋本病の重症群・軽症群、バセドウ病難治群、寛解群及び健常人で測定した。その結果、TBX21-1514T/C (rs17250932)・-1993T/C (rs4794067)多型のTアリルがバセドウ病難治群で多く、TTゲノタイプを持った人ではHLX-742C/G(rs2184658)多型のGアリルを持つ人が多かった。従って、TBX21及びHLXの機能的な遺伝子多型がバセドウ病の難治度に関係していることより、予後予測に利用できる可能性が示された。2.Th2系サイトカイン(IL-5、IL-6,IL-13)の遺伝子多型Th2系サイトカインであるIL-5、IL-6,IL-13の遺伝子多型(IL5-746C/T、IL6-572C/G、IL13-1112C/T)を橋本病の重症群・軽症群、バセドウ病難治群、寛解群及び健常人で測定した。その結果、バセドウ病及び橋本病におけるこれらの遺伝子多型のアリルおよびゲノタイプ頻度は同様であったが、IL13-1112C/TのTアリル、IL5-746C/T多型、IL6-572C/G多型のGキャリアの頻度がバセドウ病の寛解群で多かった。またIL6-572C/G多型のGキャリアの頻度が橋本病の重症群で多かった。従って、Th2サイトカインの遺伝子多形が自己免疫性甲状腺疾患の重症度・難治度に関係していることより、予後予測に利用できる可能性が示された。
2: おおむね順調に進展している
今回研究予定のmicroRNAの測定系も立ち上げ、測定を開始している。
免疫応答制御因子(免疫原性および寛容原性の樹状細胞関連遺伝子やTh17関連因子、甲状腺上皮細胞に発現する免疫応答制御分子の遺伝子多形、さらに免疫応答制御に関連するmicroRNAについての検索を、さらに項目を増やして検討し、自己免疫疾患の発症予知診断法を開発する。
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