研究課題/領域番号 |
23390150
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
岩谷 良則 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (60168581)
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研究分担者 |
日高 洋 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (30243231)
渡邉 幹夫 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50294088)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | CD40 / FCRL3 / DNMT1 / MTRR / 一塩基多型 / 自己免疫疾患 / 発症予知 / 重症度 |
研究概要 |
免疫応答制御因子の遺伝子多型を解析することにより自己免疫疾患の発症予知診断法の開発を試みた。 1.ゲノムワイド関連研究で同定された疾患感受性遺伝子の多型 CTLA-4、PTPN22、CD40、FCRL3、ZFATがゲノムワイド関連研究で自己免疫性甲状腺疾患の疾患感受性遺伝子として同定されたが、これらの遺伝子多型を、橋本病の重症群・軽症群、バセドウ病の難治群・寛解群で解析し、疾患の重症度・難治度との関連を調べた。その結果、CD40とFCRL3の遺伝子多型はバセドウ病の難治性と関連していること、ZFATは橋本病の重症度と関連しているが疾患感受性遺伝子ではないことが判明した。 2.DNMT1、DNMT3A、DNMT3B、MTHFR、MTRR遺伝子多型 DNAのメチル化を制御するDNA mathyltransferase 1 (DNMT1)、DNMT3A、DNMT3Bと、DNAメチル化に必須の酵素であるmethylenetetrahydrofolate reductase (MTHFR)、methionine synthase reductase (MTRR)の遺伝子多型と自己免疫性甲状腺疾患及びその重症度・難治度との関連を調べた。その結果、DNMT1 +32204GG genotypeがDNAの低メチル化とバセドウ病の難治度に関連すること、そしてMTRR +66AA genotypeが橋本病の重症度と関連する可能性があることが判明した。 このように免疫応答制御に関連する多数の因子の遺伝子多型が自己免疫性甲状腺疾患の発症や重症度に関連することを明らかにすることができた。自己免疫疾患の発症予知診断法への応用が期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫応答制御因子の遺伝子多型で自己免疫疾患の発症及び重症度に関連するものを発見し、順次学術研究論文として公表している。また免疫制御に関連するmicroRNAの末梢血単核球中、血漿中および血清中の定量法及び遺伝子多型の測定法を確立し、自己免疫性甲状腺疾患の各種病態での解析を進めており、最終年度には論文として成果を公表できると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
免疫原性および寛容原性の樹状細胞やヘルパーT細胞、そして自己免疫の標的細胞である甲状腺上皮細胞に発現する免疫応答制御分子およびその分子の機能的な遺伝子多型を検索し、さらに免疫応答制御に関連するmicroRNAの発現および遺伝子多型を解析することにより、自己免疫疾患の発症予知診断法を開発する。
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