研究課題/領域番号 |
23390154
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研究機関 | 中部大学 |
研究代表者 |
水村 和枝 中部大学, 生命健康科学部, 教授 (00109349)
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研究分担者 |
片野坂 公明 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (50335006)
田口 徹 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (90464156)
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キーワード | 筋性疼痛 / 神経成長因子 / グリア細胞由来神経栄養因子 / 遅発性筋痛 / 神経損傷 / 虚血 / ATP / EP2受容体 |
研究概要 |
本研究は遅発性筋痛や神経損傷以外の様々な筋性疼痛モデルにおいて各種神経栄養因子がどのように関与しているか調べ、その筋性疼痛に関与している範囲を明確にし、またこれら神経栄養因子の痛み受容器に対する作用機構を明らかにする。さらにはこれら因子の筋における産生に関わる因子を明らかにすることを目的とする。(1)本年は新たな筋性疼痛のモデルの1つとして大腿動脈へのFeCl_2投与による虚血モデルの作成を試みた。虚血が不十分なためとおもわれるがまだ筋機械痛覚過敏を確認できていない。(2)神経栄養因子の作用機構について、取出し長指伸筋-総腓骨神経標本からの単一神経記録により調べた。グリア由来神経栄養因子(GDNF)は、神経成長因子(NGF)とは異なりC線維ではなくA-δ線維の機械感受性を増大させた。その時間経過はGDNFによる機械痛覚過敏とよくあっていた。(3)COX-2-GDNF経路に関わるEP2のノックアウトマウスに伸張性収縮を負荷し、負荷筋におけるCOX-2、NGF、GDNFのmRNAの発現を調べたところ、GDNFのみならず、COX-2,NGFいずれの発現増大も抑えられていた。(4)また、収縮形態のなかで伸張性収縮のみが遅発性筋痛を起こす理由を探る目的で、収縮形態によるATP遊離量の違いを検討するため、取出し長指伸筋を用いてATPの測定を行うための実験装置を作成し、測定を開始した。(5)遅発性筋痛におけるNGE,GDNF,COX-2の産生細胞をin situ hybridizationにより調べ、筋細胞が産生することを突き止めた。(6)神経損傷モデル(L5脊髄神経結紮モデル)において、その求心神経の大半が切断されたL5に由来する腓腹筋内側頭でも痛覚過敏が見られることから、他分節からの求心神経の再支配が生じている可能性について、筋からのFast blueの逆行性輸送を用いて目下検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
4月に研究室を中部大学に移動したため、研究室のセットアップに時間がかかった。そのため、実験の進行が遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
研究室のセットアソプは完了し、実験の遂行に支障はなくなった。今後次の点について解析を進める (1)虚血モデルの完成をめざす。また労作性筋痛のモデル作成に取り掛かる。それらにおける機械痛覚過敏におけるNGF,GDNFの関与の有無を調べる (2)筋の収縮形態による遅発性筋痛発現の有無の原因を探るため、ATP遊離量の測定、ブラジキニン遊離量の測定を実施する。 (3)NGFとGDNFの相互作用の可能性を検討する。 (4)NGFによる侵害受容器の感作機構を培養後根神経節細胞からのパッチクランプ記録により解析を始める
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