研究課題/領域番号 |
23390155
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
植田 正 九州大学, 大学院・薬学研究院, 教授 (90184928)
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研究分担者 |
阿部 義人 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60315091)
田中 宏幸 九州大学, 大学院・薬学研究院, 准教授 (30253470)
白石 充典 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (00380527)
齊藤 秀俊 九州大学, 大学院・薬学研究院, 助教 (90444794)
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キーワード | P2X4受容体 / 神経障害性疼痛 / in Silicoスクリーニング / 抗体 |
研究概要 |
3次構造を持ったヒトP2X4受容体の細胞外ドメインを調製し、抗原としてラットに免疫した。経時的に眼窩採血を行い、抗体価を評価したところ、数週間で適当な抗体価が得られた。次に定法に従い、マウスの脾臓を摘出後、脾細胞を回収し、ミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマを調製した。ELISA法を用いて、ハイブリドーマの中にラットP2X4受容体の細胞外ドメインに結合せず、ヒトP2X4受容体の細胞外ドメインと特異的に結合するものが18個の培養上清に見いだされた。次年度は、これらをクローニングして、エピトープの解析、イメージングに使える抗体または機能阻害抗体かどうかを評価する。一方、X線結晶解析により立体構造が解析されたゼブラフィッシュP2X4受容体の構造を基にモデル動物であるラットP2X4モデリングを行い、サイト5に結合する候補化合物を市販されている低命子化合物のライブラリーから計算科学(ソフトウエアーMOEを使用)的にスクリーニングした。候補化合物20種類を入手し、それらがラットP2X4受容体を発現する培養細胞を用いて、ATP存在下でカルシウムの取り込みを阻害するかどうかについて解析した。その結果、いずれの化合物も阻害効果を示さなかった。今後は別のP2X4受容体の領域に対して、計算科学的に結合する化合物をスクリーニングする。さらに、既に我々が調製している3次構造を持ったヒトP2X4受容体の細胞外ドメインはATP結合能を持っていなかったことから、調製されたヒト細胞外P2X4は適切な3量体構造を持っていないことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機能評価には至っていないが、ヒトP2X4受容体特異的な抗体が調製できていることが主な理由である。計算科学的に候補化合物をスクリーニングする方法では機能阻害化合物を得ることができなかったが、計算科学による化合物の絞り込み、機能評価という一連の研究を実施できたという点も加え、全体的に進捗状況としては順調と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
ヒトP2X4受容体の細胞外ドメインに対する抗体のクローニングとそれらのモノクローナル抗体の機能評価を行う。並行してヒトP2X4受容体が適切に3量体を形成できるような調製法を検討し、効率的に機能阻害抗体を作製するとともに、3量体構造のヒトP2X4受容体のX線結晶解析を目指す。
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