研究課題/領域番号 |
23390160
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中村 裕之 金沢大学, 医学系, 教授 (30231476)
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研究分担者 |
人見 嘉哲 金沢大学, 医学系, 准教授 (70231545)
神林 康弘 金沢大学, 医学系, 講師 (20345630)
菅沼 成文 高知大学, 医歯学系, 教授 (50313747)
福冨 友馬 独立行政法人国立病院機構相模原病院臨床研究センター, 病態総合研究部, 研究員 (30463110)
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キーワード | アレルギー / エピジェネティクス / Respiratory syncytial (RS)ウイルス / インフルエンザウイルス / microRNA / 感作 / アレルゲン / 分子疫学 |
研究概要 |
アレルギー性疾患の原因については、胎児期あるいは小児期の前半に最も頻繁に感染する Respiratory syncytialウイルス(RSV)やインフルエンザウイルス(IFV)の関与がよく知られるようになったが、その病態の背景である感受性遺伝子との相互作用はよく知られていない。本年度では動物実験および分子疫学を通して、microRNA(miRNA)とその標的遺伝子、タンパクおよびクロマチンリモデリングとの関係に着目することによってウイルス感染におけるアレルギー疾患エピジェネティクスを解明することを試みた。高lgE産生系マウスとして知られているBALB/cマウス6匹を1群として、4群、計24匹を用意した。すべてのマウスにおいてPneumonia virus of mouse (PVM)モデルマウスを用い、PVM前投与と後投与の有無で4群とし、PVMの投与が無い群では、不活化PVMを投与した。採血によって血清中抗原特異的IgE及びIgG1値およびPVM抗体を測定し、感染および感作を確認した。最終抗原吸入24時間後、気道抵抗性を測定後、気管支肺胞洗浄液(BALF)中および脾臓中の好酸球を定量し、PVM感染におけるアレルギー疾患エピジェネティクスを証明した。また高知大学がユニットセンターに選ばれている。ユニットセンター長の菅沼が担当するエコチル研究に際して、妊婦20人をリクルートし、対象者の環境中の化学物質の曝露状況や室内塵やダニ、花粉、昆虫、動物などのアレルゲンに対する感作の状態について評価し、miRNA発現と標的遺伝子、タンパク質の解析し、同様にウイルス感染におけるアレルギー疾患エピジェネティクスを証明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、動物実験と疫学研究から成り、両方においてエピジェネティクスを一方は感染症との関係で、一方は感作との関係で証明することができた。このため研究の目的である予防法の提示のための科学的証拠をおおむね順調に得ることができてきている。
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今後の研究の推進方策 |
動物実験ではエピジェネティクス制御因子の解析をさらに詳細に行う。ヒストン脱アセチル化酵素の測定、ヒストンメチルトランスフェラーゼの測定などを行う。また分子疫学では、miRNA発現と標的遺伝子とタンパク質の解析を行い、この結果と感受性遺伝子の結果との関係を解析する。miRNAと遺伝子およびエピジェネティクスの相互作用を解明し、新しい免疫・感染・遺伝子バイオマーカーの同定を行うことでRSVならびにIFVによるアレルギー発症に対する新しい予防法を確立する。
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