研究課題
パーキンソン病は進行性の神経変性疾患であり、我が国における超高齢社会の到来により患者数のさらなる増加が予想されている。パーキンソン病の原因のひとつとして酸化ストレスによるDNAやタンパク質の損傷が報告されており、特にタンパク質の酸化損傷(カルボニル化)は不可逆性の損傷で、タンパク質の機能や安定性を低下させる。また、パーキンソン病の診断では様々なパーキンソン症候群と鑑別する必要があるが、有用な疾患バイオマーカーの発見には至っていない。本年度は、パーキンソン病患者の血漿中のカルボニル化タンパク質を解析することで、パーキンソン病における疾患バイオマーカーの探索を行った。パーキンソン病患者及び健常者の血漿を使用し、蛍光標識二次元ディファレンスゲル電気泳動(2D-DIGE)法によってタンパク質の発現変動解析を行った。さらに、二次元電気泳動及びウエスタンブロットの併用(2D-Oxyblot)によりカルボニル化タンパク質の検出を行った。カルボニル化タンパク質量を発現量で補正してタンパク質の酸化損傷度を導き、パーキンソン病患者において酸化損傷度が増加したタンパク質について、MALDI-TOF/TOF MSを用いて同定を行った。その結果、パーキンソン病患者において酸化損傷度が増加したタンパク質として、Fibrinogen beta chain, Alpha-1-antichymotrypsin, Serum amyloid P-componentが同定された。これらのタンパク質は炎症反応に応答して活性化することが報告されており、またパーキンソン病には炎症が関与していることも報告されていることから、今回同定したタンパク質の酸化損傷度の増加がパーキンソン病の疾患バイオマーカーとなる可能性がある。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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