研究課題
成人の健康影響調査については、神経内科検診を実施した194名のうち、これまでの毛髪水銀濃度が一度でもWHOクライテリアで神経症状発現の下限値とされる50 ppmを上回る毛髪水銀濃度を呈した11名のMRI検査を実施した。メチル水銀中毒の主要病変である感覚野(fMRIで運動野を同定することで感覚野を推定)と小脳でMRスペクトロスコピー(MRS:種々の物質が少しずつ異なる磁気共鳴現象を生じる現象を利用して、脳内の代謝物質の有無とその量を測定する技術)を実施したところ、神経細胞残存の指標であるNAA(Nアスパラギン酸)/ Cr(クレアチン)比が正常であったことから、これらの領域での神経細胞の明らかな減少がないことが判明した。これまでの神経内科検診とMRS検査で明らかな健康影響が見られなかった理由を明らかにするために、前回健康調査を行った194名のうち155名から血清サンプルを得た。メチル水銀曝露による小児発達への影響調査については、平成25年8月10日から8月11日、太地町多目的センターで、小児検診を実施した。対象は小学1年生の7名で、調査項目は、①毛髪採取、臍帯収集、②小児の身長・体重・血圧測定、③保護者から既往歴等の聴取、④小児神経機能評価:小児神経診察、 WISC検査、 アイトラッカー検査、上肢運動機能評価システム、⑤神経生理学検査:色覚検査、心電図QTc時間、R-R インターバル、聴性脳幹誘発電位(ABR)、視覚誘発電位(VEP)であった。今年度は、前年度に行ったアイトラッカー検査を最近注目されている小児の注意障害を高率に検出できる視覚ノイズ発生型持続的注意集中力検査に変更した。サンプルサイズが小さいため、メチル水銀曝露の影響を明らかにするにはサンプル数の確保が必要であることから、現在、周辺地域である串本町の調査ができるよう、地元の教育委員会と交渉を行っている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Environment International
巻: 68 ページ: 25~32
10.1016/j.envint.2014.03.005.