研究実績の概要 |
本研究の目的は、ストレス関連ホルモンである副腎皮質ホルモンに着目し、パーソナリティー・ストレスなどの心理的要因及び各種ホルモンと乳がん罹患・予後との関連を明らかにすることである。平成26年度は、以下(1)~(4)を実施した。(1)前年度に引き続き、新規乳がん手術症例を対象に生活習慣調査及び血中・乳腺組織中ホルモン値の測定を進めた。前年度までの65例と併せて2月末までに86例のホルモン値が集積された。(2)前年度までの65例及び研究者らが過去に収集した64例併せた129例の新規乳がん手術症例をデータベース化し、血中・乳腺組織中ホルモン値と各種生活習慣・心理的要因との関連を解析した。ER+/PgR+乳がんでは、肥満度(BMI)が高い者ほど血中・組織中のEstrone, Estradiol, Testosterone, Androstenedione値が有意に上昇するなど、いくつかの生活習慣とホルモン値との関連が認められた。また、ER-/PgR-乳がんでは飲酒歴のある者でCortisol高値、ER-/PgR-/HER2-乳がんでは、不安感のある者で血中DHEA, Cortisolが高値であった。(3)新規乳がん手術症例を対象に術前・退院時・術後3か月時点に3種類の心理テストを実施した。前年度分と併せ2月末までにすべての心理テストデータが揃ったのは57例であった。このうちの一部を(2)のデータとリンクし、心理テストスコアとホルモン値との関連を解析した。術前の心理尺度POMS・T-A(緊張及び不安感)スコアと組織中Testosterone値との間に正の相関が認められた。(4)宮城コホートによる「パーソナリティー尺度EPQRと乳がん罹患・予後との関連」の解析結果を論文にまとめた。3月上旬に乳癌専門誌に投稿しアクセプトされた。
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