研究課題
平成26年度は分担研究者らの協力を得て、大迫コホートにおいて家庭血圧測定など多岐にわたる検査を実施した。そのデータを用いて、小児から研究対象を拡大し、大迫地区の 60歳以上の住民1,493名(平均70.1歳)について、基本的な日常生活動作能力より上位の水準にある高次生活機能が、脳卒中の予測因子であるかどうかを分析した。高次生活機能は、老研式活動能力指標(TMIG-IC)の合計点および3つの下位尺度(手段的自立、知的能動性、社会的役割)を用いて測定した。Cox比例ハザードモデルを用いて、調整済みハザード比と95%信頼区間を算出した。平均10.4年の追跡期間中、191名が初発脳卒中を発症した。TMIG-ICの合計点を基に測定した高次生活機能の障害は、脳卒中発症と有意に関連していた (ハザード比 1.64、95%信頼区間 1.15~2.33)。また、TMIG-ICの3つの下位尺度の中で、知的能動性のみが脳卒中発症と有意に関連していた(ハザード比 1.64、95%信頼区間 1.21~2.22)。社会的役割は、対象をさらに75歳以上とした場合のみ脳卒中発症と有意に関連していた(ハザード比 1.78、95%信頼区間 1.07~2.98)。この結果、ベースライン時のBADLが自立している地域在住の高齢者においてさえ、高次生活機能の障害、特に知的能動性の障害は、脳卒中の予測因子であることがわかった。高次生活機能を観察していくことは、将来の脳卒中発症リスクの高い者を同定するのに有用である可能性が示唆された。なお、平成26年10月に、収集データの解析・モデリングに使用していたPCが故障し、修理後のデータ再整理のために研究期間を延長し、本結果を原著論文として発表した (Murakami K et al. Stroke 2016)。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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