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2013 年度 実績報告書

酸化LDLコレステロールと潜在性動脈硬化症、生活機能の関連についての地域疫学研究

研究課題

研究課題/領域番号 23390178
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

岡村 智教  慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00324567)

研究分担者 宮本 恵宏  独立行政法人国立循環器病研究センター, その他部局等, その他 (10312224)
東山 綾  兵庫医科大学, 医学部, 助教 (20533003)
西脇 祐司  東邦大学, 医学部, 教授 (40237764)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2015-03-31
キーワード疫学調査 / 血中可溶型LOX-1 / ApoB含有LOX-1リガンド / 頸動脈内膜中膜複合体 / CAVI / 生活習慣 / 腎機能
研究概要

Lectin-like oxidized LDL Receptor (LOX-1)は、内皮細胞における酸化LDLなどの変性LDLの受容体として知られており、変性LDLによる血管内皮機能障害、催動脈硬化作用はLOX-1を介している。そこで血中可溶型LOX-1(sLOX-1)と共にApoB含有LOX-1リガンド(LAB)を測定することによって潜在的な動脈硬化所見や動脈硬化の進展可能性を評価できるという仮説をたてた。昨年度は滋賀県草津市と米国ピッツバーグ市近郊の40歳代男性地域住民(日本人 310人、米国人 297人)のsLOX-1とLABを測定し、米国集団ではLDLコレステロール(LDLC)を調整してもLABと頸動脈内膜中膜複合体(IMT)に有意な正の関連を認めた。しかし日本人集団ではLABとIMTに有意な関連を認めなかった。そこで今年度は、50歳以上を含む草津市男性 981人(平均年齢67歳)でLABとIMTの関連を見た。LABをquartileに分けると、第1 quartileの総頸動脈の平均IMTは第2~第4 quartileに比し有意に小さかった。この関連は糖尿病や高血圧を調整しても認められたがLDLコレステロールを調整すると消失した。一方、神戸市の男女 540人(平均年齢 62歳)でLABと脈波(Cardio Ankle Vascular Index, CAVI)の関連を検討した結果、LABの自然対数値はLDLコレステロールを含む交絡要因を調整したCAVIと有意な正の関連を示した。以上の結果からLABと潜在性動脈硬化の関連は日本人では米国人ほど明確ではなくむしろLDLコレステロールそのものの影響が大きい可能性が示された。しかしIMTよりCAVIのほうがより早期の動脈硬化の指標であるため、LABは日本人の動脈硬化の早期増悪指標としての意義があると考えられた。今後、縦断調査での解析を行って更に検証を進める予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究では幾つかの集団でsLOX-1とLABを測定し、様々なアウトカムとの関連を検討することになっている。まず日米集団(40歳代男性)でのIMTとの関連について検討した。次いで神戸市民の集団でも測定を実施し、LABと大動脈の進展性(CAVI)との関連を明らかにした。さらに滋賀県の50~74歳の地域住民を対象にLABとIMTの関連を見た。引き続き他集団での対象者での検証を進めており、日常生活動作や糖尿病の発症との関連も検証できる準備が整った。これは当初計画通りの進捗状況である。

今後の研究の推進方策

当初の計画通り、40歳代の日米比較と潜在性動脈硬化(IMTなど)との関連、神戸市民での脈波や生活習慣との関連、群馬県での日常生活動作や認知能との関連、滋賀県草津市集団での50歳以上の潜在性動脈硬化との関連、という複数の集団、複数のアウトカムを設定し、研究を進めている。これらのデータをまとめてハイリスク者を同定できるアルゴリズムを整備し、さらに縦断的な解析を行い成果公表に繋げる。現状では特記すべき問題点はない。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] 変性LDL(アポBを含むLOX-1リガンド)と頸動脈内膜中膜複合体の関連:日本と米国白人の中年男性における検討.シリーズ:日本発臨床研究の紹介と反省点を語る2014

    • 著者名/発表者名
      岡村智教、関川 暁、沢村達也、 上島弘嗣
    • 雑誌名

      日本内科学会雑誌

      巻: 103 ページ: 173-180

  • [雑誌論文] LOX-1 ligands containing apolipoprotein B and carotid intima-media thickness in middle-aged community-dwelling US Caucasian and Japanese men.2013

    • 著者名/発表者名
      Okamura T, Sekikawa A, Sawamura T, Kadowaki T, Barinas-Mitchell E, Mackey RH, Kadota A, Evans RW, Edmundowicz D, Higashiyama A, Nakamura Y, Abbott RD, Miura K, Fujiyoshi A, Fujita Y, Murakami Y, Miyamatsu N, Kakino A, Maegawa H, Murata K, Horie M, Mitsunami K, Kashiwagi A, Kuller LH, Ueshima H
    • 雑誌名

      Atherosclerosis

      巻: 229 ページ: 240-245

    • DOI

      doi: 10.1016/j.atherosclerosis.2013.04.023.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 動脈硬化リスクとしての脂質異常症.2013

    • 著者名/発表者名
      岡村智教
    • 雑誌名

      循環Plus

      巻: 13 ページ: 10-12

  • [学会発表] 心腎連関の疫学:日本人一般集団のコホート研究の知見から2013

    • 著者名/発表者名
      岡村智教
    • 学会等名
      第45回日本動脈硬化学会総会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      20130718-20130719
    • 招待講演

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公開日: 2015-05-28  

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