研究課題
Lectin-like oxidized LDL Receptor (LOX-1)は、内皮細胞における酸化LDLなどの変性LDLの受容体として知られており、変性LDLによる血管内皮機能障害、動脈硬化促進作用はLOX-1を介している。そこでApoB含有LOX-1リガンド(LAB)と潜在的な動脈硬化所見の関連を検討した。滋賀県草津市と米国ピッツバーグ市近郊の40歳代男性地域住民(日本人 310人、米国人 297人)のLABと頸動脈内膜中膜複合体(IMT)の検討、神戸市の男女 540人(平均年齢 62歳)のLABと脈波(Cardio Ankle Vascular Index, CAVI)の検討に引き続き、50歳以上を含む地域住民男性 992人(平均年齢 64歳)でLABとIMTの関連を検討した。LABをquartileに分けると、総頸動脈の多変量調整平均IMTは、第1~第4 quartileにかけて 0.797、0.827、0.813、0.841mmであった(年齢、HDLC、トリグリセライド、BMI、高血圧、糖尿病、喫煙、飲酒を調整, P= 0.005)。しかしこの関連は総コレステロール値を調整すると消失した。対象者をLABの中央値と高コレステロール血症の有無で4分割すると、IMTは高LABかつ高コレステロール血症で高く(0.856mm)、特にスタチン等の脂質治療薬の非服薬者で顕著であった。高コレステロール血症群では、総コレステロール値を調整しても高LAB群のIMTは低LAB群より有意に高かった。日本人の高齢者の集団ではLABは高コレステロール血症者の動脈硬化をさらに増悪させる要因と考えられた(9th World Stroke Congress, Istanbulで発表、論文投稿中)。なお昨年度の成果である神戸市民におけるLABとCAVIの関連については論文を公表した。LABは従来の脂質指標に加えて動脈硬化性疾患のハイリスク者の同定に有用と考えられた。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of Atherosclerosis and Thrombosis
巻: 22 ページ: 印刷中
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The Journal of Nutrition Health and Aging
巻: 19 ページ: 印刷中
Journal of Epidemiology
巻: 25 ページ: 印刷中