研究課題/領域番号 |
23390182
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
美作 宗太郎 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50284998)
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研究分担者 |
大島 徹 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (70464427)
大谷 真紀 秋田大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (30292379)
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キーワード | 打撲傷 / 断層撮影 / OCT |
研究概要 |
比較的新しい法医解剖症例で打撲傷を認めるケースについて,解剖前にCTスキャナ,Mini OCT System,超音波診断装置などにより断層撮影して,法医解剖で切開を加えた際に肉眼的に観察し,同部の組織標本の観察も併せて行って,これらを比較する作業を行った. CTスキャナでは比較的深層の皮下出血をとらえるには適しているが,薄層の軟部組織出血をとらえること難しく,Mini OCT Systemは皮膚表層の観察には適していたが,その守備範囲は表皮と真皮にとどまることが判明した.超音波診断装置については,CTスキャナとMini OCT Systemの中間的な守備範囲を有しており,これらの機器を上手に組み合わせることにより,打撲傷の断面を可視化することが可能であると考えられた. また,Mini OCT Systemが皮膚表層の所見をとるのに有用である点に注目して,これを虫刺症の皮膚所見の判断に応用できないか追加研究を行った.従来から被虐待児の皮膚変色を検査・評価する際に,しばしば保護者から「我が子の皮膚変色は打撲傷によるものではなく虫さされによる変色である」という説明を受けることがある.そこで,虫刺症を受けた皮膚変色部をMini OCT Systemで観察すると,同部の真皮に高信号域を観察することができ,また虫刺症による水疱形成も明瞭に観察することが可能であった.これらはCTスキャナでは勿論のこと,超音波診断装置でも描出が困難な所見であり,Mini OCT Systemの新たな有用性が示された. Mini OCT Systemの納期の遅れによって本研究は遅れているが,現時点でCTスキャナ,Mini OCT System,超音波診断装置の特性や守備範囲が判明した.今後は症例数を増やすと共に,虫刺症など打撲傷との鑑別診断が必要な皮膚病変の断層画像を明らかに出来るよう取り組む予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の主要機器であるMini OCT Systemの納期の遅れによって,予定されていた研究開始が大幅に遅れたが,少しずつ遅れを取り戻すべく努力している.
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今後の研究の推進方策 |
現時点でCTスキャナ,Mini OCT System,超音波診断装置の特性や守備範囲が判明しているので,今後は打撲傷により観察する機器を変えて,効率よく研究する必要がある.小児の症例は少ないため,今後は少し年齢は幅を拡げて観察する必要性を感じている.また,今までの研究でMini OCT Systemの新たな有用性を確認できたことから,今後は打撲傷との鑑別診断が必要な皮膚病変の断層画像を明らかに出来るよう取り組む予定である.
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