研究課題/領域番号 |
23390183
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石井 晃 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (30252175)
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研究分担者 |
妹尾 洋 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50236113)
服部 秀樹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (30107817)
小川 匡之 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50559937)
花尻 瑠理 国立医薬品衛生研究所, 生薬第3部, 室長 (10224916)
那須 民江 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10020794)
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キーワード | 法医学 / 中毒学 / 質量分析 / 分析化学 / 自然毒 / アマニチン |
研究概要 |
自然毒の分析については、まずアマニチンに関し、UPLC-MS-MSによる分析の条件の最適化を試みた。UPLC-MS-MSでの分析カラムはAcquity UPLC BEH Shield RP18 2.1×100mm (Waters)、溶媒はギ酸・メタノール系のグラジエントプログラムにおいて、α-amanitin並びにβ-amanitnが完全に分離できた。ローディングバッファーはpH3、固相抽出カラムはOasis HLB 3 cc (Waters)、抽出溶媒はメタノールを用いることで最良の検出結果が得られた。内部標準物質には数種類の候補の中から回収率、Matrix効果共に優れた結果を示したVirginiamycin Bを選択することで、安定した分析結果が得られた。すべての化合物を5分以内に検出でき、感度限界は血漿、血清、尿でそれぞれ1、1.5、0.5ng/mlと既報とほぼ同程度ないし良好な結果が得られた。一方、α-amanitin及びβ-amanitnの各生体試料中Matrix成分による影響は大きく、特に尿においてはmatrix成分によりイオン化が人サンプルで約1.5倍、ラットサンプルで約3倍となった。しかしながら、matrix効果のサンプル間の差は小さいという結果が得られ、コントロール尿で検量線を作成することにより、定量は可能であると考えられ、実際にラットに投与したところ、尿サンプルでの検出が十分可能であった。他方、nano-LC-MS-MSによる分析については、通常のC18充填剤のカラムでは分離が不十分であり、今後カラムのさらなる検討が必要と考えられた。また、われわれは、肝毒性のマーカーとして胆汁酸に着目し、UPLC-MS-MSを用いて21種類の胆汁酸を分離することに成功し、これについても5分以内で分析することが可能となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
アマニチンについては、Orbitrapでの分析の前段階として、UPLC-MS-MSによる分析を試み、十分な定量性及び再現性が得られた。Nano-LC-MS-MSによる分析では、未だ十分な分離が得られていないものの、既に得られたデータに基づいて、異なる充填剤によるカラムを試みる予定である。
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今後の研究の推進方策 |
上述したように、nano-LC-MS-MSによる分離に関しては、新しい充填剤によるカラムを用いることで、より良好な分離が得られると期待できる。また、肝毒性のプロジェクトについては、当初計画していたMPQIより先に、まず胆汁酸をターゲットとして検索を試みることとした。
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