研究課題/領域番号 |
23390183
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
石井 晃 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30252175)
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研究分担者 |
那須 民江 中部大学, 生命健康科学部, 客員教授 (10020794)
花尻 瑠理(木倉瑠理) 国立医薬品食品衛生研究所, 第3室, 室長 (10224916)
服部 秀樹 愛知医科大学, 医学部, 准教授 (30107817)
妹尾 洋 愛知医科大学, 医学部, 教授 (50236113)
小川 匡之 愛知医科大学, 医学部, 助教 (50559937)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 法中毒学 / アマニチン / UPLC-MS-MS / Orbitrap / Q-TOF / 合成カンナビノイド |
研究概要 |
本年度では、UPLC-MS-MSによるアマニチン類の分析が完了した。昨年度に得られた条件で、ラット尿サンプルについても、投与後6ないし24時間後でも検出は可能であった。しかしながら血清中からは検出は不可能であった。これらの成果は国際誌に掲載された。 一方、nano-LC-MS-MSを用いたアマニチン類の分離は、良好な分離条件が得られず、再現性も欠けていた。他方、最近の飛行時間型タンデム質量分析計(Q-TOF)は、感度及び定量性の点で、格段の進歩を遂げている。そこで、我々はQ-TOFを用いてアマニチン類が測定できるか、実験を行った。尿サンプルを液-液抽出して再構成したサンプルに、アマニチンを適当量添加した。カラムは、ScherzoSM-C18 (2mmx150mm)を用い、流速は0.5ml/min、移動相は、 Aに5mMギ酸アンモニウムを含むミリQ水、Bにメタノールを用いた。グラジエント条件は、10%Bで1分保持し、その後5分で95%まで上昇させ、目的物質を溶出した。イオン化法はESIポジティブモードを用いた。アルファ-アマニチンは3.7min、ベータ-アマニチンは4.5minに溶出し、良好なピーク形状 及び分離が得られた。感度は、1ng/mlまで十分定量可能であり、1-5000ng/mlの広い範囲で良好な直線性が得られた。また、目立ったマトリックス効果は認められなかった。同様に、ピクロトキシンも高感度に検出が可能であった。 一方、合成カンナビノイドに関しては、APICA、 APINACA、 AB-PINACA、 AB-FUBINACAという、四種類の新規合成カンナビノイドを市販の脱法ドラッグから同定し、構造決定を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
UPLC-MS-MSを用いた自然毒の分析に関しては、概ね良好な結果が得られている。しかしながら、Orbitrapによる測定の前提条件となる、nano-LCを用いた場合、自然毒では十分な分離が得られないことが多い。そのため、前述したように、Q-TOFを用いて測定を行ったところ、高感度にアマニチン類を検出することが可能であり、UPLC-MS-MSで大きな問題であった、マトリックス効果も観察されず、有用な方法であると期待された。
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今後の研究の推進方策 |
先に述べたように、Orbitrapに接続されているnano-LCは、これまでの実験結果からでは、分離は必ずしも良好ではない。しかし、最近発売されている、飛行時間型タンデム質量分析計(Q-TOF)を用いると、分離も良好で、高感度かつマトリックス効果を認めることなく、アマニチン類を測定することが可能となった。従って、nano-LCによる分離条件の追求は、今後も行うものの、本年度は、Q-TOFを用いた測定を中心として方法論の開発を行う予定である。 また、新たに財津が研究グループに加わったことで、Q-TOFを用いたプロジェクトとして、重点を合成カンナビノイド及びその類縁化合物の分析にシフトして研究計画を遂行する予定である。
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