研究課題
本研究では、未だその生理学的・病的意義が確立していない「リンパ管システム」に焦点をあて、「リンパ管の機能異常が生活習慣病形成に寄与する」との仮説のもと研究を進めている。まず、肥満2型糖尿病モデル(ob/ob、db/db、KKAyマウス)、1型糖尿病モデル (Akitaマウス) を用いて免疫染色を行ったところ、いずれのモデルマウスでも膵リンパ管が増生していた。このことは、肥満や糖尿病に伴って膵リンパ管の発達が変化することを示している。特に肥大膵島周辺にリンパ管が密着しており、膵島からの何らかの因子がリンパ管新生を促していることが示唆された。そこで、強力なリンパ管新生因子であるVEGF-Cの発現をリアルタイムPCRで解析したところ、ob/obマウス、高脂肪餌負荷マウスの膵島ではそれぞれ10.4倍、2.7倍に発現が上昇していた。免疫染色および、培養細胞を用いたRT-PCRでは、膵α、β細胞ともにVEGF-Cを発現しており、さらに、その発現はIL-1βやTNFαで誘導され、NF-κB阻害剤により抑制された。このことから、糖尿病、肥満で発現が上昇するTNFαやIL-1βが膵α、β細胞でのVEGF-Cの発現を誘導し、膵リンパ管の増生をもたらすことが示唆された。また、膵α、β細胞におけるVEGF受容体の発現を解析したところ、両者においてVEGF-C受容体であるVEGFR-3の発現を認め、膵内分泌細胞において、VEGF-Cがオートクラインに働く可能性が考えられた。さらに、動脈硬化巣においても、VEGF-Cが高発現していることやリンパ管が単球/マクロファージの排出に関与するという報告がある。そこで、野生型マウスおよび、高コレステロール餌負荷アポE欠損マウスにおいて血管壁でのリンパ管網を免疫染色により検討したが、正常大動脈壁ではリンパ管は極めて少なく、粥腫においてもその増生はみられなかった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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