研究課題
近年、基礎老化研究では、「ストレス老化 (若い細胞も酸化ストレス、DNA障害、発癌ストレスなど様々なストレスにより老化する)」が注目されている。最近、「ストレス老化は癌遺伝子変異のある細胞の悪性化を防ぐ生体防御バリアーである」という意外な事実が判明した(Collado M他Nature 05)。代表近藤は一貫して、「解糖系代謝による老化・寿命制御」を提唱し、長寿遺伝子として解糖系酵素そのものを世界初報告した(近藤他Can Res 05)。我々は2001年頃より、「解糖系代謝がストレス老化シグナルに拮抗し、生体防御防御バリアーとなる」という仮説提唱してきた。中でも、解糖系酵素ホスホグリセリン酸ムターゼPGAMに注目している。PGAMは、近藤が長寿遺伝子として報告した(近藤他Can Res 05, 近藤他ARS 07)。PGAM失活により早期老化誘導される一方、PGAM強制発現によりストレス細胞老化抑制され、さらに解糖系代謝全体が亢進し、細胞癌化へ暴走してしまう。この解糖系亢進の代謝特性は、古くよりワールブルグ効果の名で、癌細胞でよく知られた事実である。よって、PGAMは細胞の老化・癌化に密接に関与し、PGAM活性の厳密制御が「老化恒常性」維持に重要であると推測される。しかし、PGAMの上流(分子制御)や下流(生物学的効果)機構は謎のままだった。我々は本計画で、PGAMの分子制御機構解明に取り組み、その成果として、癌遺伝子Mdm2によるPGAMユビキチン化を発見し、最近論文報告した(三河他J Cell Biol. 2014)。本成果は、以下の点で、世界的にもユニークかつ重要な報告となった。世界で初めてがん遺伝子Mdm2による解糖系代謝制御の分子機構を解明した点、Mdm2はがん遺伝子であると同時に、PGAM制御を通じてがん抑制遺伝子でもあることを解明した点、PGAMのユビキチン化が解糖系代謝全体の制御において重要な原因の一端を解明した点、などである。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.anti-aging.jpn.com/