研究課題/領域番号 |
23390188
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
小原 克彦 愛媛大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (30260384)
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キーワード | プレ・フレイルティ / 動脈スティフネス / 認知機能 / サルコペニア / サルコペニック肥満 / 重心動揺 / 起立性血圧変動 / 縦断研究 |
研究概要 |
(1)サルコペニック肥満の定義:これまで蓄積された約1000例を対象として、筋肉減少関連フェノタイプとして(1)大腿部CTによる断面筋面積(CSA)および大腿四頭筋、ハムストリングの筋面積から若年群の大腿CSAの-1SDおよび-2SDとしてサルコペニアを定義し、肥満は臍部CTによる内臓脂肪面積100cm^2以上、BMI25以上と定義し、組み合わせからサルコペニック肥満を定義した。その結果、サルコペニック肥満は年齢と共に増加し、75歳以上では腹部肥満よりも頻度が高くなる。サルコペニック肥満は、高齢者の一般的な肥満形態であることを見出した。 (2)老化関連要因との検討:このサルコペニック肥満の定義により老化関連因子、機能障害、臓器障害との関連性を検討した。その結果、男性においてサルコペニック肥満はbaPWVと有意に相関することを認め論文報告した(Int J Cardiol 2012 in press)。サルコペニック肥満では、中心血圧が上昇していることを認めており、現在、論文化中である (3)病因の検索:サルコペニック肥満は、血中レプチン濃度の上昇を伴っており、単なる内臓肥満のみの場合に比し、よりレプチン抵抗性が上昇した状態であることを認め論文報告した(PLOS One 2011)。さらに、アディポネクチン、レジスチンとの関連性を検討したが、アディポネクチン・レジスチンとは有意な関連は認めなかった。論文化の予定である。サイトカイン測定を開始した。 (4)身体計測値等による筋肉量推定の構築:超音波法による大腿筋面積推定式を構築した。 (5)縦断研究:抗加齢ドック受診者を対象として縦断研究を開始した。アンケー小により、転倒、骨折、心血管病の新たな発症、要介護状態への移行と要介護度、死亡の発生の調査を開始しており、継続する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究結果は十分そろいつつある。すでに2つの論文発表を行った。学会発表を終えているものもあり、今後も論文化は進むと考えられる。研究を進めていくにつれて、サルコペニアの他の定義の有用性にも気づいた。大腿筋面積以外に、全身筋肉率、ダイナペニアの指標としての握力にも注目し、検討を加える予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は2年目であり、昨年度の成績をまとめて論文化を進めるとともに、新たなサルコペニア指標の開発、老化因子との関連、サイトカインに注目した病院の検索を進める。特に、認知機能、脳萎縮、呼吸機能との関連性を検討する。縦断面研究はデータ収集を進め、結果の解析に進む予定である。 本年度から新たに茂木先生に分担研究員に参加いただき、サルコペニアの基礎的な側面の研究を展開する。分担研究員は、動脈硬化、高血圧、認知症の動物実験のエキスパートであり、この方面からサルコペニアのモデル動物の開発を試みる。
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