研究課題
1. 大動物を用いた細胞治療の前臨床試験・ブタ下肢虚血モデルに対する治療効果の検討:ブタ両下肢大腿動脈を5cm長にわたり結紮切除し、片側の虚血筋組織に同一個体の皮下脂肪組織から調製したDFATを移植した。経時的に経皮酸素分圧や血管密度を測定し、血流改善の程度を対側Control肢と比較した。その結果、DFAT移植肢はControl肢に比べ、移植1,2週後より虚血部位の経皮酸素分圧が有意に高値となり、移植4週間後の虚血筋組織の血管密度が有意に増加した。以上の結果より自家DFATの虚血組織への移植は、高い血流改善効果を示すことが明らかとなった。・ウサギ骨粗鬆症に対する治療効果の検討: 雌性日本白色家兎の両側卵巣を摘出後6ヶ月間飼育し、骨粗鬆症を誘導した。片側大腿骨にDFATを骨髄内投与し(DFAT肢)、対側大腿骨には生理食塩水を注入した(Control肢)。1ヶ月後に両側大腿骨を摘出し、骨構造解析を行った。その結果、DFAT移植肢はControl肢に比べ、海面骨密度の有意な増加が認められた。移植したDFATの一部は骨内に生着し、骨芽細胞マーカーであるOsteocalcinを発現していた。以上の結果より、骨粗鬆症モデル動物に対するDFAT骨髄内投与は、骨再生に寄与し骨密度改善効果があることが明らかになった。2. 高齢者難治性疾患に対するDFAT細胞治療の有効性の検討・腹圧性尿失禁に対する効果:ラットに膣拡張術と両側卵巣摘出を行い、持続的腹圧性尿失禁モデルを作成した。このモデルの尿道周囲の結合組織にDFAT(DFAT群)、または線維芽細胞(Control群)を移植し、その治療効果を比較検討した。その結果、DFAT移植群ではControl群に比べ、移植6週間後のLeak point pressureが有意に増加し、組織学的にも尿道平滑筋や尿道横紋筋の菲薄化が有意に抑制された。以上の結果より、尿道括約筋障害に伴う腹圧性尿失禁に対するDFAT移植の有効性が明らかになった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (22件) (うち招待講演 3件) 図書 (1件)
The Veterinary Journal
巻: 89 ページ: 88
10.1016/j.tvjl.2013.10.033
Anatomical Science International
巻: 89 ページ: 1-10
10.1007/s12565-013-0208-8
American Journal of Hypertension
巻: 27 ページ: 695-701
10.1093/ajh/hpt208
Journal of Molecular Medicine
巻: 92 ページ: 509-521
10.1007/s00109-013-1118-x
Tissue Engineering Part A
巻: 19 ページ: 1792-1802
10.1089/ten.TEA.2012.0380
日大医学雑誌
巻: 72 ページ: 86-92
American Journal of Physiolosy Renal Physiology
巻: 305 ページ: F957-967
10.1152/ajprenal.00344.2013