研究課題
●病態を規定するHCV変異体の解明肝発癌に関連する遺伝子として昨年度に引き続いて次世代シークエンサーを用いてコア遺伝子に注目した解析を行い、コア70番遺伝子変異の混在状態と臨床病態との関連についてさらに詳細に明らかとした。一方、コア遺伝子領域全体の分子進化がコア70番遺伝子によって規定される可能性について系統樹解析を用いて明らかとした。一方、ペグインターフェロン・リバビリン併用療法を施行症例において、コア、NS5A-ISDR、NS5A-IRRDRの3領域における治療開始前後超早期24時間でのquasispecies変化を検討しquasispeciesとその動態が3領域ごとに独立してわずか24時間で大きく変化することを次世代シークエンサーを用いて明らかとした。●プロテアーゼ阻害剤、NS5A阻害剤治療反応性を規定するHCV変異体の解明今後の上梓が予定されている新世代の治療薬であるプロテアーゼ阻害薬、あるいはNS5A阻害薬においては治療効果が期待される一方、これらの薬剤に対する自然耐性の存在が懸念されている。そこでこれらの薬剤に対する自然耐性を次世代シークエンサーを用いて検討したところ、プロテアーゼ阻害剤に対しては約7-8割に有意な変異を有すること、一方、NS5A阻害剤に対しては約3割程度に有意な耐性変異を持つことを明らかとした。
2: おおむね順調に進展している
プロテアーゼ阻害剤、あるいはNS5A阻害剤において我々が得た結果は、実臨床に直接フィードバックされ、これらの薬剤使用において注意を喚起するものとなっている。一方で、多くの症例において大規模な検討を今後行うことにより、臨床現場にどのようなインパクトをもたらすのかさらに明らかとしてゆく必要がある。また、肝発癌との関連が明らかとなったコア70番遺伝子混在状態と肝発癌の関連については、一方では次世代シークエンスを用いて、肝発癌と関連する宿主分子群を合わせて検討することにより、肝発癌におけるウイルスと宿主の関連を明らかにしてゆく必要がある。
前述したように、次世代シークエンサーを用いて、プロテアーゼ阻害剤、あるいはNS5A阻害剤を含む薬剤耐性と関連するウイルス遺伝子変異について多数の症例を積み重ねることによりさらに明らかとしてゆく。一方で肝発癌と関連する宿主分子群について、ホルマリン固定標本からマイクロダイセクションにてDNAを肝癌部、非肝癌部特異的に抽出する方法を確立し、これを用いて次世代シークエンサーによる解析を効率よく行ってゆく。
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件)
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