研究課題
国民の悲願である消化器癌の克服に向けて、外科学を最大の武器とし、新技術(体細胞リプログラミング)を革新的な癌の診断・治療法の開発に応用し、その実現へ向けて基盤を構築することにより、新世紀に相応しい医学の進歩に大きく貢献することが目的であり意義である。2本の骨子から成る計画を実施した。1)革新的・低侵襲の癌治療法の開発:革新的な消化器癌医療の具現化を目指して、新しいリプログラミング技術を導入し、新規の癌治療法を開発。癌幹細胞および免疫担当細胞等の宿主細胞を標的化。2)臨床応用に向けた基盤構築:小動物実験を経て将来の臨床試験に向けて基盤を構築。初年度は、癌細胞側と宿主側の双方を標的とした新しい医療の創出を目指して、試験管内実験と動物実験を有機的に組み合わせて未来医療の基盤の構築を目指した。【成果】1)「消化器癌幹細胞(CSC)」に対するリプログラミング(RP)。試験管内実験として上細胞株および新鮮臨床材料から消化器癌幹細胞(CSC)を精製、ゲノム挿入変異がないセンダイウイルス・合成オリゴマイクロRNAによりRPの詳細な実験した。その結果、癌幹細胞分画は活性酸素の濃度が低く、リプログラミングに適した細胞内環境であることが明らかとなった。動物実験として免疫不全マウスの同所移植および異所移植を実施。既知の癌遺伝子群、癌抑制遺伝子群の網羅的PATHWAY解析をqRCR、蛋白質から分子機構を究明した。高感度のゲルプロテオミクス解析の結果、リプログラミング効率を格段に向上させるための鍵分子を同定した。2)ゲノム変異のないマイクロRNA単独によるRP。高精度の誘導条件として時系列に動態を検討し、癌細胞および宿主細胞に対する最適の誘導条件を明らかにした。血清中のTGFbの濃度を低く保つまたは阻害することが上皮間葉系転換を抑制してリプログラミング効率を向上させた。標的となる下流遺伝子群の解明した。癌遺伝子-rasと癌抑制遺伝子p53の重要性を明らかにした。マイクロRNAの作用が収束される重要なハブ因子を同定し、miPS誘導に関わる新たなネットワーク解析を実施し候補分子を同定した。
1: 当初の計画以上に進展している
低酸素応答を含めて癌幹細胞の代謝特性を究明するための新規分子探索な順調に推移し、標的シーズまで開発が進捗している。
癌幹細胞の代謝特性の国際競争はきわめて激しいので、計画に沿ってぶれる事なく迅速に目標を達成する。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 8件) 学会発表 (4件)
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