研究課題/領域番号 |
23390200
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
篠村 恭久 札幌医科大学, 医学部, 教授 (90162619)
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研究分担者 |
山本 博幸 札幌医科大学, 医学部, 講師 (40332910)
鈴木 拓 札幌医科大学, 医学部, 助教 (20381254)
能正 勝彦 札幌医科大学, 医学部, 助教 (10597339)
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キーワード | 消化管癌 / GIST / マイクロRNA / エピゲノム / miR-196a / HOTAIR |
研究概要 |
消化管間質腫瘍(GIST)におけるmicroRNA (miRNA)発現プロファイルを解析し、悪性度および予後予測マーカーとなりうる知見を得ることを目的とした。 新鮮凍結GIST検体(n=64)およびパラフィン切片(n=100)を解析対象とした。miRNAマイクロアレイ(Agilent)を用いて32例のGISTにおけるmiRNA発現プロファイルを解析した。TaqMan RT-PCRによりmiRNA発現を検証した。また、遺伝子発現アレイおよびarray CGH解析を行い、miRNA発現と比較した。 マイクロアレイ解析の結果、GISTは染色体14qのmiRNAクラスターの高発現群と低発現群に大別され、かつこれらのmiRNA発現は14q欠失と逆相関したが、悪性度とは相関しなかった。リスク分類ごとのmiRNA発現パターンを解析した結果、high-risk群において有意に高発現しているmiR-196aを同定した。miR-196aの高発現は転移および予後不良と強く相関した。遺伝子発現アレイの結果、miR-196aが存在するHOXCクラスター遺伝子群およびlncRNAであるHOTAIRが、miR-196aと同時に高発現していることが明らかとなった。HOTAIRの高発現もまた、GISTのhigh-risk群に高頻度であり、転移および予後不良と相関した。 miR-196aはGISTの高悪性度群の予後診断マーカーとなる可能性が示された。miR-196aおよびHOTAIRは、GIST悪性化のメカニズムに関与していることが示唆され、診断および治療の分子標的となりうると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
GISTにおけるmiRNA発現プロファイルを解析し、miR-196aおよびHOTAIRが、悪性度および予後予測マーカーとなりうるという知見を得ることができた。同様のストラテジーにて、大腸癌および前癌病変である腺腫に関し、多数の症例を対象に、発癌早期に関わるmiRNAおよびエピゲノム異常を解析中である。胃癌に関しても早期胃癌検体を対象に順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
順調に進展しているGIST、大腸癌および腺腫に加え、早期胃癌の解析を推し進め、大腸および胃発癌早期に関わるmiRNAおよびエピゲノム異常を明らかにし、分子マーカーを開発する。
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