研究課題/領域番号 |
23390204
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鈴木 亨 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (90359620)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 循環器・高血圧 / 蛋白質 / プロテオーム / ストレス / トランスレーショナル・リサーチ |
研究概要 |
ポストゲノム時代を迎えた現在、研究対象は応用ゲノム、なかでも蛋白質へと主眼が移りつつある。心血管病態は多様なため、蛋白質の解析が最も期待できる領域のひとつであるが、十分な解析が進んでいない。申請者は、世界でも有数のプロテオーム解析法の先駆者として、同技術を心血管病態の解析にいち早く導入してきた実績を有する。本研究では、疾患病態制御の解明を目指し、心血管系の疾患関連蛋白質の解析を行う。従来のプロテオーム解析は、経時的変化まで考慮しない質的(等電点pI値、分子量等)・量的変化を主に解析する2次元的な解析が中心であったが、本研究では病態解明に必要な経時的解析を考慮した革新的な3次元プロテオーム解析を行う。必要な技術の開発と導入を予備検討で既に行っている。心血管疾患の病態制御の理解を目的としており、病態関連蛋白質の新規発見ないし病態メカニズムの解明ならびに臨床応用を目指す。 平成24年度は、臨床検体の分析を引き続き行う一方で、これまでに得られた疾患関連因子について、その生理活性の検討を行い、疾患病態への関与を調べた。具体的には、ヒト由来培養内皮細胞を用い、その因子の有無での細胞内シグナル伝達物質の促進や阻害を分子レベルで検討した。さらに、その因子の生成メカニズムについて、ヒト心筋培養細胞を用いて検討を行った。すなわち、そのメカニズムにはある種のプロテアーゼが関与しているということを作業仮説として、システマチックにプロテアーゼの阻害剤を培養細胞の系に加え、検討した。また一方、診断法の開発のために、上記と並行して臨床検体の分析条件の最適化を図り、検出感度の向上を目指した。診断に質量分析計を用いることを考え、マトリックス支援レーザー脱離型質量分析計(MALDI)と液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)のどちらが本診断法に適しているのかということについても比較検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、心血管疾患を有する患者の治療前の血液検体を分析し、経時的な視点からこれらの患者の治療後の追跡調査を行っている。一例として、検体中に含まれる極めて微量の因子を対象とし、抗体を用いて分離・濃縮を行うターゲット・プロテオームの手法を検討している。また、MALDIとLC-MSの比較を行うため、LC-MSの分析条件を特に高感度で検出することが可能なMRM(多重反応モニタリング)モードにおいて検討している。現在までに、標品を用いて、両者はほぼ同等か、LC-MSの方が検出感度が高いことがわかってきた。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度は、臨床検体の分析を引き続き行う一方で、これまでに得られた疾患関連因子について、疾患プロテオーム解析の方法論に基づき、その生理活性の検討をさらに行い、疾患病態への関与を調べる。また、この疾患関連因子の生成メカニズムについてさらに検討を加え、関与しているプロテアーゼについて検討する。さらに、このプロテアーゼが臨床検体においてどのような活性を有しているかを検討することで、心血管疾患の病態解明をめざす。
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