研究課題
「リンパ浮腫」はリンパ管の閉塞や破壊により起こる病態で、主にヒトではガンの外科的治療でのリンパ節郭清術や放射線・抗ガン 剤治療を原因とすることが多い。子宮ガンや乳ガンなどの手術後に多く発生し(術後5~20%前後)、現在国内で5万人以上が苦しんでいる。術後リンパ浮腫に対しては、理学・薬物療法・手術などが試みられているが、有効な治療法はこれまでなく疼痛や炎症で苦しむ事が多い。また、足の屈伸・歩行などが著しく障害される結果、生活の質(QOL)も非常に低下する。そこで現在期待されている治療法の一つが、「リンパ管再生療法」である。これは毛細リンパ管を再生させることによって、うっ帯したリンパ液を排泄させ、上記のような症状を軽減させるものである。我々は、自己皮下脂肪組織由来間葉系幹細胞(Adipose-derived regenerative cell, ADRC)を用い、近い将来に臨床応用が可能と期待される自己細胞移植を用いた有効な「リンパ管再生療法」に関する研究を行って来た。この結果、マウス尾部リンパ浮腫モデルにおいて、ADRC細胞移植が有効なリンパ管再生療法の手法となりうる事を証明した(Shimizu Y. et al. J. Am. Heart Assoc. 2012;1(4):e000877. doi:10.1161/ JAHA.112. 000877.) また我々は、脂肪細胞から産生放出されるAdiponectin が血管新生作用を有している事に着目し、このサイトカインがリンパ管再生を起こすか否かを検討したところ、Adiponectin もこのモデルにおいて、リンパ管再生作用を有する事を発見し、報告できた(Shimizu Y. et al. J. Am. Heart Assoc.J 2013;2(5):e000438. doi: 10.1161/JAHA.113.000438.)
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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