研究課題
本研究においてL型カルシウムチャネル細胞内サブユニット(以下LTCCb2a)のリン酸化の病態的意義を明らかにする事によりカルシウムチャネル細胞内サブユニット機能制御による新規心不全治療開発基盤の確立を目的に研究を遂行した。平成25年度は非リン酸化変異体LTCCb2aの心筋特異的過剰発現マウスの機能解析を野生型LTCCb2a過剰発現マウスとの比較により明らかにすることを中心に研究を進めた。野生型過剰発現マウスは、以前に作製されたFVBN系統のものをC57Bl6系統に交配により変更し、変異型過剰発現マウスとほぼ同一となるようした。生理条件下において、いずれの過剰発現マウスにおいて有意な心肥大の形成を認めなかった。尚、両LTCCb2a過剰発現マウスにおいて導入遺伝子の過剰発現の程度は同程度であった。両者において浸透圧ポンプを用いてフェニレフリンの2週間の持続投与を施行したところ、野生型の過剰発現において有意に心肥大反応の増強が観察された。この表現型の詳細な機序の解析をラット新生仔心筋細胞の系を用いて解析した。その結果、LTCCb2aが細胞膜カベオラマイクロドメインにおいてリン酸化される事と、そのリン酸化により増大したカルシウム流入がCaMKIIの活性化を誘導し悪循環を形成する事が明らかとなった。またそのリン酸化がαアドレナリン受容体刺激により誘導される事が明らかとなった。またその過程において筋小胞体Ca2+ATPaseとP2X7受容体の重要性が明らかとなった。これらの結果は、慢性心不全におけるLTCCb2aの発現が上昇した状態において、CaMKIIのマイクロドメインにおける活性化が種々の下流の標的の機能修飾を介して病態を形成する事を示唆し、今後、細胞内局在における制御が治療標的となる事を明らかにし、新規治療の確立に向け重要な意義があると考えられる。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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