本研究では誘導型心筋特異的インスリン受容体欠損(iCIRKO)マウスを用いて、以下の4点を検討することにより、インスリンシグナルによる心機能制御のメカニズムを解明し、新たな心不全治療法を確立することを目指す。 (1)iCIRKOマウスの表現型をさらに詳細に解析する (2)iCIRKOマウスの心筋内シグナル伝達の変化を検討する (3)iCIRKOマウスの心筋内エネルギー産生系について解析をおこなう (4)iCIRKOマウスの心機能低下におけるmTORの関与を明らかにする 平成23年度は上記4つのうち、(1)(2)について主に検討した。 (1)iCIRKOマウスの表現型をさらに詳細に解析する iCIRKOマウスでは心重量が減少次第に、心エコーでは収縮期左室内径の拡大と収縮能の低下が認められた。また、組織学的解析により、心筋細胞の萎縮と間質の線維化が見られることも明らかになった。 (2)iCIRKOマウスの心筋内シグナル伝達の変化を検討する iCIRKOマウス心臓では、インスリンシグナルの下流の中でもAkt-mTOR経路が選択的に抑制されていることが明らかになった。その原因としてAMPKの活性化により二次的にmTORの活性化が抑制されることが考えられた。
|