研究課題/領域番号 |
23390215
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
矢野 雅文 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (90294628)
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研究分担者 |
小林 茂樹 山口大学, 医学部附属病院, 助教 (90397993)
池田 安宏 山口大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00260349)
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キーワード | 心不全 / 筋小胞体 / カルシウム / リアノジン受容体 |
研究概要 |
目的:筋小胞体(SR)に存在する心筋型Ca2+放出チャネル(リアノジン受容体:RyR2)内の構造連関の安定化により、遅延型後脱分極(DaD)から致死的不整脈につながる拡張期の局所的Ca2+濃度上昇を抑制し新たな心不全・心肥大・致死的不整脈の包括的治療法を確立すること。 結果:1) CPVT型R2474S+KIマウスの心筋細胞では、isoproterenol負荷にて、WTに比べ、calmodulin(CaM)のRyR2に対する結合親和性が低下し、その結果、単離心筋細胞内Ca spark頻度は増加し、筋小胞体内のCa contentは減少していた。2) R2474S/+マウスでは、 RyR2の特定領域(N-terminal, central: N-C)ドメイン連関障害を呈した。3)一方、S2246L/+KIマウスでは、R2474S/+とは異なり、点突然変異S2246Lを含むdomain (2232-2266)が近傍のdomainと異常に強固なdomain連関を形成することにより、チャネルが不安定化しCa 漏出を生じることが示された。4) RyR1の点突然変異病として知られる悪性高熱症の特効薬であるダントロレンは、チャネルを安定化し(N-terminal, centralドメイン連関障害の是正)、Ca 漏出を抑制することにより、S2246L/+KI、R2474S+KIいずれのマウスでもVTを抑制した。5) R2474S+KIマウスでは、CaMのRyR2に対する結合親和性を著しく高めたGSH-CaMは不全心筋細胞のCa spark頻度を著明に抑制した。 以上、CPVTのCaハンドリング異常のメカニズムとして、RyR2内ドメイン連関障害→CaM解離→Ca2+ 漏出が示唆され、このCa2+ 漏出を防ぐことにより新たな心不全・不整脈治療につながることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
不全(病的)心におけるCaハンドリング異常のメカニズムが当初の研究計画にそって着実に解明できつつある。
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今後の研究の推進方策 |
新たなCPVT型KIマウス(C末側のmutation)が今年度前半で作成完了予定であり、さらなる研究上の推進が期待できる。
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