研究課題
肺血管透過性に対するNK細胞の機能に着目して、研究を行いました。NK細胞を除去したマウスは、除去しなかったマウスに比べると、心筋梗塞後に著しい呼吸不全に伴う低酸素血症を呈しました。一方、心筋梗塞後の心臓の左心室から全身へ血液を送り出す力は、NK細胞除去の有無では違いを認めませんでした。NK細胞を除去したマウスにおける呼吸不全に伴う低酸素血症の悪化は、心筋梗塞後の心臓の傷の治りが悪かったことが原因ではなく、好中球による肺の血管内皮細胞傷害の程度が重症化した結果、肺血管透過性が亢進、つまり血液の液体成分がより多く肺の中へしみ出したことが原因と考えられました。心筋梗塞後は24時間以内に、肺の血管内皮細胞が傷害され、好中球が肺胞隔壁、さらには肺胞内に浸潤します。血管壁の通りがよくなってしまい、血液内の液体成分や赤血球も肺胞腔内にしみ出す結果、低酸素血症(呼吸困難)を引き起こします。本研究グループは、肺NK細胞は、肺の中の主たるIL-10産生細胞であり、心筋梗塞後に肺の毛細血管の壁に近づき、IL-10を生み出すことによって、肺の毛細血管の壁に好中球が浸潤するのを抑制し、血液の液体成分が血管の外へしみ出すのを防いでいることを世界で初めて明らかにしました。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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