研究課題
線維芽細胞成長因子(fibroblast growth factor; FGF)シグナルは、肺癌を含む多数の癌での活性化が注目されている。我々は肺上皮細胞特異的に線維芽細胞増殖因子9 (FGF9)をドキシサイクリン依存性に強制発現することにより肺癌を発症するマウスモデルを見出したことから、今年度はIn vitro系FGF9投与によるクララ細胞の“幹細胞様化”の誘導系の確立をめざした。野生型マウスから分離した初代培養クララ細胞、基底細胞にrecombinant FGF9を投与しSPC発現誘導、細胞増殖の有無を検討する。多重蛍光染色によるCCSP/SPC共陽性細胞の視覚的評価に加え、SPC、CCSP mRNAに対する定量的RT-PCRによる評価、またBrdU、細胞周期の検討を行った。In vitroにおける誘導系確立を前提として、1)FGFRに対する選択的インヒビター(PD173074)、ブロッキング抗体を用いて同細胞に対するFGF9の効果がautocrine機序であることを確認し、in vitro系におけるFGF9責任受容体の検索を行った。また、FGFR下流細胞増殖シグナルについての検討を行った。さらに、FGF9誘導肺癌における責任受容体の同定を行った。まず免疫染色法にてFGF9の強制発現により形質転換する細気管支上皮細胞と腫瘍に発現するFGF受容体のスクリーニングを行った。さらに、SPC-rtTA, TRE-Fgf9-IRES-eGfpダブルトランスジェニックマウスに受容体欠損マウスを掛け合わせ、受容体欠損がFGF9強制発現による腫瘍形成を阻害できるか否かを決定した。FGFR3欠損マウスは先天的に骨過形成と難聴を呈するが肺には異常がなく交配も可能である。FGFR3の欠落がFGF9誘導肺癌を抑制でき、責任遺伝子であることを明らかにした。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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