研究課題
細気管支幹細胞は,「肺炎症時の組織修復に重要」と注目されている肺組織幹細胞である。この細胞はクララ細胞などの気道細胞へ広く分化する一方で,逆にクララ細胞から細気管支幹細胞へ再分化転換することが知られている。しかしこの分子機構は不明である。申請者はクララ細胞に発現する蛋白分解酵素SLPI(secretory leukocyte protease inhibitor)を20年間にわたって研究しており,「SLPIの阻害が細気管支幹細胞への再分化転換を促すこと」を見い出した。本研究ではこの先行知見を礎に,①SLPIの下流シグナル分子のエピジェネティクスや②SLPI結合蛋白質の解析から,再分化転換機構を解明し,③炎症性肺疾患の新規治療法の開発へとつなげていく。本研究で得られる細気管支幹細胞についての知見は,炎症性肺疾患の新規治療開発に止まらず,幹細胞調製の一般技術へと波及することが期待される。今年度は、当該研究計画の最終年度にあたる。昨年度までに、SLPIの下流シグナルに関連していると疑われる遺伝子群の中に、再分化転換機構に関わっている「真の分子(『bronchiolar progenitor factor (BPF)』と命名)」を同定している。そこで今年度は、このBPFの組換え蛋白質を用いて、BPFがSLPIの下流シグナルとして再分化転換機構を介しながら、抗炎症効果を発揮することを明らかにした。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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