研究概要 |
EGFR遺伝子改変マウスを使用し,各種チロシンリン酸化酵素阻害薬:TKI(BIBW2552(非可逆性 Dual TKI of EGFR and HER-2),everolimus(mTOR阻害薬),AZD1480(JAK-1/2阻害薬)の抗腫瘍効果を明らかにした。 BIBW2552:マウスEgfr delE748-A752導入マウスを15匹ずつ,無治療群,gefitinib群とBIBW2552連日経口投与群で3群比較し,BIBW2552の生存期間中央値未到達(無治療群:17.3週,gefitinib投与群:54.3週)であり,gefitinibと比較しその生存期間を有意に延長した(logrank test,p<0.05)。BIBW2552はgefitinibと比較してEGFR,HER2のリン酸化をより強く長期間抑制した。 everolimus:ヒトEGFR L858R遺伝子導入マウスを12匹ずつ2群に分け,無治療群とeverolimus連日経口投与群で比較し,everolimusは生存期間中央値を58週(無治療群:31週)と有意に延長した(logranktest,p<0.001)。また,everolimusは試験管内でgefitinib耐性株RPC-9に対しても感受性を残すことを明らかにした。 AZD1480:マウスEgfr delE748-A752導入マウスを13匹ずつ2群に分け,無治療群とAZD1480(30mg/kg)連日経口投与群で比較し,AZD1480は生存期間中央値を31週(無治療群:15.1週)と有意に延長した(logrank test,p<0.0001)。また,AZD1480は試験管内でgefitinib耐性株RPC-9に対しても感受性を残すことを明らかにした。 EGFR遺伝子変異陽性癌に対するDual TKI,mTOR阻害薬,JAK1/2阻害薬の有用性を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EGFR遺伝子改変マウスを使用し,各種チロシンリン酸化酵素阻害薬:TKI(BIBW2552(非可逆性Dual TKI of EGFR and HER-2),everolimus(mTOR阻害薬),AZD1480(JAK-1/2阻害薬)などの薬剤による抗腫瘍効果,生存期間に与える影響,下流シグナルの変化を明らかしており,成果は米国癌学会で報告し,論文も投稿中である。研究は予想通りおおむね順調に進んでいる。
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