研究課題/領域番号 |
23390223
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究分野 |
腎臓内科学
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
丸山 弘樹 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (10293218)
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研究分担者 |
石井 達 大分大学, 医学部, 研究員 (00222935)
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キーワード | lamellar body / Gb3 / オートファジー不全 / p62 / 多尿 / 尿細管障害 / 骨粗鬆症 / 心不全 |
研究概要 |
1)腎障害が発症して進行する過程の研究 (1)腎組織の解析:20週齢を対象とした電顕で、髄質集合管・遠位尿細管、近位尿細管の上皮細胞にlamellar bodyを含む多数のvacuoleとミトコンドリア異常を認めた。これらは、本症の発症に深く関わっている可能性を強く疑わせる所見である。電顕でもポドサイトには少数のlamellar bodyが認められるだけであった。免疫染色ではp62が髄質集合管・遠位尿細管、近位尿細管の上皮細胞に認められた。ポドサイトには認められなかった。これらは、オートファジー不全の関与を示すものであった。 (2)腎機能、尿異常の解析:尿蛋白として、アルブミン、β_2-ミクログロブリン、膵アミラーゼが認められた。腎組織では糸球体障害が認められないことから、近位尿細管障害による蛋白尿と考えられる。集合管・遠位尿細管障害による尿浸透圧低下、多尿も認められた。 2)その他の重要な標的臓器と早期老化症候群の解析 (1)骨の解析:大腿骨遠位部のCTでは、20週齢で海綿骨骨量と全骨骨量が低値を示し、30週齢でさらに皮質骨骨量も低値を示し、骨粗鬆症を認めた。20週齢の大腿骨遠位部の骨形態計測では、骨吸収の亢進、類骨形成の亢進、骨量の低下が認められた。骨の石灰化障害は認められなかった。類骨の増加、類骨成熟時間の増加を伴う骨粗鬆症と診断された。 (2)心の解析:心カテーテル検査、心エコーで、20週齢でファブリー病の早期心障害である拡張障害を認めた。さらに、30週齢では、収縮障害も認めた。心肥大は認められなかった。ドブタミン負荷試験で、β刺激に対する反応の低下を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎臓の解析が当初の計画よりもやや遅れているが、骨と心臓の解析が当初の計画以上に進展しているので、全体としては、順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、オートファジー不全がファブリー病の病態に関わっていることが考えられる。この観点からファブリー腎症(尿細管障害)の病態を明らかにしていく。オートファジー研究の専門家と協議する機会を設定して、今後の研究を進める。
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