研究課題/領域番号 |
23390223
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
丸山 弘樹 新潟大学, 医歯学総合研究科, 特任教授 (10293218)
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研究分担者 |
石井 達 大分大学, 医学部, 客員研究員 (00222935)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ファブリー腎症 / 多尿 / TAL / NKCC2 / Uromodulin / 尿細管障害 / 骨粗鬆症 |
研究概要 |
申請者らは、無症状であるGLA欠損( GLAKo)マウスにGb3合成系酵素(G3S)を過剰発現させて、多尿、多飲、尿浸透圧低下、などの尿細管障害を主体とする腎症状を呈する G3STg/GLAKoマウスを作出した。このマウスの病態を解析し、新規ファブリー病モデルマウスとしての有用性を検証してきた。本研究により、Gb3の蓄積過剰が腎症状の発症に関わることを明らかにできた。研究成果の一部を論文として発表した(Taguchi et al. A symptomatic Fabry disease mouse model generated by inducing globotriaosylceramide synthesis. Biochem J.2013)。 G3STg/GLAKoマウスの特徴は以下の通りである。成長障害(体重増加不良)、血圧低下が認められた。血液検査では、アシドーシス、電解質異常(高Ca血症、高P血症)、高窒素血症、高Cr血症、高ALP血症が認められた。尿検査では、多飲、多尿、尿浸透圧低下、主要電解質(Na、K、Cl、Mg、Ca、P)の尿中への排泄増加、CrClの低下が認められた。腎組織検査では、PAS染色で空胞変性が髄質外層のTAL細胞に5週齢までに出現し、進行性である。次第に、核と細胞質の膨化、細胞浸潤、管腔の狭小化が出現した。EM染色で線維化が髄質外層のTAL周囲に10週齢までに出現し、進行性であった。GLAKoマウスでは線維化の発症は認められていない。電顕では、TAL細胞にlamellar bodyを認められた。トルイジンブルー染色でTAL細胞内にドット状の陽性所見が認められ、Gb3の蓄積を示した。免疫染色ではp62の蓄積増加がTAL細胞に認められ、オートファジー不全の関与を示すものであった。骨QCTではBMDの減少、骨形態計測では、骨吸収の亢進、類骨形成の亢進、骨量の低下が認められた。 TAL障害による尿中電解質異常、尿濃縮力低下、血圧低下、腎機能障害、骨障害による血中電解質異常、成長障害であると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
多尿を来す主な障害部位がTALであることを明らかにすることができた。これにより、解析の方針を絞ることができた。全体としては、順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、G3STg/GLAKoマウスで検出できた病態の解析に注力し、研究成果をまとめる。ファブリー腎症では、ポドサイトの泡沫化などの糸球体障害が有名であるが、すでに1950年代、尿細管障害(尿濃縮能低下)が早期の腎障害として報告されているが、障害部位は特定されていない。ファブリー病では、高血圧が少ないとされているが原因は明らかにされていない。近年、新たな症状として骨粗鬆症が報告されているが、原因が不明である。 G3STg/GLAKoマウスの臨床症状として、ファブリー腎症(TAL障害による尿細管障害が主体)と骨障害の存在を明らかにすることができたことから、TALの機能障害について詳しく解析を進めて、研究成果をまとめる。特に、TALのユニーク蛋白であるuromodulin(Umod)とコトランスポーターNKCC2に注目し、解析を行っていく。両者ともReal-time PCRと免疫染色で発現の低下が認められた。ファブリー腎症では、Umodの発現が低下することが報告されており、合致する所見であった。NKCC2遺伝子変異によるI 型バーター症候群で認められる所見とは、成長障害、血圧低下、多尿、多飲、などの所見が重なった。UmodがNKCC2の活性に関わることなどTALで出会う2つの分子の相互作用が報告されている。 晩期症状である尿蛋白に先んじて、TAL障害を尿検査で検出できれば、ファブリー腎症の早期発見に繋がる。尿中TAL細胞の検出(免疫染色)、尿中細胞から単離したRNA を用いてreal-time PCRによるTAL固有分子の検出方法の開発も進める。
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