研究課題
研究代表者は、蛋白尿発症時にmRNA発現が低下している分子群を探索し、ネフローゼ症候群発症に関わる分子を同定する作業を進めてきた。これまでの研究で、ポドサイトの細胞間接着装置であるスリット膜の機能維持、蛋白尿の発症、他臓器疾患の発症に関連がある分子としてEphrin-B1とシナプス小胞関連分子であるSV2Bを同定し、その機能解析を進めてきた。平成23年度はEphrin-B1, 24年度はSV2Bの性状解析、ノックアウトマウスの作製を行った。25年度はノックアウト(KO)マウスを用いてSV2Bのポドサイト機能維持における役割、シナプス小胞様輸送機構における役割の解析を進めた。SV2B KOマウスでは野生型に比べ、有意な蛋白尿を呈し、neprhin, CD2APに加えNEPH1の発現の変化を確認した。また足突起の消失、基底膜の肥厚が見られ、基底膜構成分子の1つであるlamininの発現変化が観察された。これらの観察結果は、SV2Bはスリット膜の形成だけでなく、足突起の維持、基底膜構造の維持にも関わっていることを示している。また、SV2B KOマウス糸球体は小胞輸送のドッキングに関与する細胞膜分子の発現が低下していることを確認した。ポドサイトにおけるSV2Bの役割をさらに検討するため、SV2B発現の発生学的検討を行った。S-shaped body stage糸球体のポドサイトにおいては、SV2Bは全周、特に頂部側に強い発現が見られた。この所見はSV2Bがポドサイトの分化に関与していることを示していると考えられる。本研究で得られた結果は、SV2Bが関わるシナプス小胞様輸送機構は、神経シナプスだけでなく上皮系細胞の分化、細胞間物質の構成に重要な役割を果たしていることを示唆しており、ポドサイト障害と他臓器疾患の関連を考えるうえで重要な知見であると考える。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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