研究課題/領域番号 |
23390226
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
宮本 賢一 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (70174208)
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研究分担者 |
瀬川 博子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (70325257)
木戸 慎介 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 特任助教 (30437652)
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キーワード | 慢性腎臓病 / リン / FGF23 / ビタミンD |
研究概要 |
慢性腎臓病の進行や透析患者の生命予後においてリンコントロールは非常に重要な役割を演じている。近年、リン酸(以下リン)代謝調節系を支配する中核的なホルモンとして繊維芽細胞様増殖因子FGF23/klotho系が明らかにされた。本研究では、腎遠位尿細管から近位尿細管へのシグナルを伝えるFGF23/klotho系の解明を中心に、腸管/腎臓/骨を結ぶ未知のリン調節因子の探索を行なった。まず、腎遠位尿細管細胞FGF23/klotho/FGFR複合体のシグナルが、どのようなシステムで近位尿細管に伝わるか検討した結果、様々な条件下で近位尿細管細胞にklothoが誘導され、FGF23のシグナルを伝える機序を明らかにした。FGF23は共受容体Klothoの共存下で特異的受容体FGFR1との結合を介して細胞内の各種シグナル伝達経路を活性化する。FGF23刺激下で活性化される分子についてはERK1/2が最も代表的であるが、同ファミリーに属する他のFGFでの作用を見る限り、その他複数の経路の活性化が示唆された。そこで、膜型Klothoを発現する近位尿細管細胞安定発現株(HEK-MmKL)を用いて、FGF23組換え体で刺激後に活性化、される細胞内シグナル伝達経路を系統的に解析した。次に、得られた結果が受容体特異的であるか否かの検証はFGFR特異的阻害薬(PD173074)による阻害作用を指標に検証した。In vivoにおいてマウスにFGFR阻害剤を投与した実験から、リン輸送の制御とは独立して活性型ビタミンDの調節が行なわれていると考えられた。最後に、腸管から分泌されるリン利尿因子の検索を行い、これらは膜型klothoの切断とリンクしている可能性が得られた。以上、骨細胞、腎臓および小腸を結ぶ臓器相関シグナル因子としてのFGF23/klothoシステムの特性の一部が明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の計画に従い、研究を5項目について実施した。計画は3年間で完結予定であるが、初年度の計画はおおむね達成できた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の中心課題である腎近位尿細管特異的なconditional KOマウスの作製が遅れているので、ベクター構築や近位尿細管特異的なプロモーターの選択が必要になると考える。また、液生因子の検出方法について、新規の方法を考案中である。これらの問題点はあるが、その以外は、当初の計画に準じて研究を推進する予定である。
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