研究課題
申請者らは急性腎不全では、細胞は栄養飢餓状態になり、急速に誘導されるオートファジーとATPレベルの低下によるアポトーシスの病態への関与を報告している。しかしながら腎臓病の病態におけるオートファジー/マイトファジー (Mitophagy/mitochondrial autophagy)の役割については、急性腎障害でオートファジーが保護的な作用をするという報告以外は不明であり尿細管の再生との関与は不明である。上記の近位尿細管はミコトンドリアの含有量が高く、オートファジー/マイトファジーは尿細管の脱分化、再生に関与する可能性は高い。現在申請者らはオートファジーをin vivo で検出できるGFP-LC3-トランスジェニックマウスを使用し、急性腎障害でオートファジーが引き起こされる新規のp53関連遺伝子としてSestrinとHIF-1関連遺伝子BNIP3に注目し、Sestrinが虚血で近位尿細管細胞で誘導されアポトーシスを抑制し、オートファジーを促進する事を見いだし、平成22年のアメリカ腎臓学会で口述発表をする。現在SestrinのKOマウスを作成し、急性腎障害でのSestrin-オートファジー系の病態への関与を検討している。従来より若年マウスがより急性腎障害の回復が良い事が知られているが、申請者らも若年マウスでオートファジーの亢進が認められること、また加齢や肥満でオートファジーが抑制される報告をしており、尿細管の再生とオートファジー/マイトファジーの制御は極めて興味深いテーマである。CKD患者での早期バイオマーカーの検索として、CKD患者尿では術前からN-Gal, IL-18, L-FABPが高値の事が多くacute on chronicで起こった急性腎障害評価が困難であったが、一つの方向性を示す事ができた、平成24年後はPCI後の症例だけでなく、ICU症例などにも拡大し症例数を増やした。
2: おおむね順調に進展している
申請者らはオートファジーをin vivo で検出できるGFP-LC3-トランスジェニックマウスを使用し、急性腎障害でオートファジーが引き起こされる新規のp53関連遺伝子としてSestrinとHIF-1関連遺伝子BNIP3に注目し、Sestrinが虚血で近位尿細管細胞で誘導されアポトーシスを抑制し、オートファジーを促進する事を見いだし、論文発表した。
現在、透析療法に至っている患者数は、全国で30万人を越え、糖尿病の増加、高齢化が加わり、さらに透析患者の増加が予想される。特に急性腎不全は、患者の高齢化などにより発症頻度は高まっており、全入院患者の5%、ICU入院患者の20%で発症するといわれている。急性腎障害をおこした場合長期的な腎機能低下と生命予後の悪化が起こる。本研究では、尿細管細胞のミトコンドリア機能の保持およびミトコンドリアのオートファジー (マイトファジー/Mitophagy, mitochondrial autophagy)の調整を検討することにより、腎機能の保護、回復・再生を目標とする。具体的な目標として、1) 尿細管細胞におけるオートファジー/マイトファジー系の腎保護への関与、2) 急性腎障害におけるミトコンドリアの機能保持の薬物による調整3) 急性腎障害腎生検検体でのオートファジー/マイトファジー検出とその意義の検討、である。
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