研究課題/領域番号 |
23390230
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
勝野 雅央 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50402566)
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研究分担者 |
祖父江 元 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20148315)
田中 章景 横浜市立大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (30378012)
足立 弘明 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), COE特任准教授 (40432257)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ポリグルタミン / マイクロアレイ / 運動ニューロン / 神経変性疾患 / CGRP1 / JNK / 球脊髄性筋萎縮症 / naratriptan |
研究概要 |
ポリグルタミン病におけるニューロン死の病態を明らかにするため、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)モデルマウスの脊髄から抽出したmRNAを用いてマイクロアレイ解析を行い、発症前から対照(野生型マウスおよび正常ヒトアンドロゲン受容体(AR)を過剰発現したトランスジェニックマウス)と比較し有意に発現の亢進のみられる13の遺伝子を同定し、そのうち多機能神経ペプチドであるcalcitonin/calcitonin-related polypeptide(CGRP1)がSH-SY5Y細胞で過剰発現すると細胞死を誘導すること、およびCGRP1のノックダウンや薬物学的阻害によりSBMAの原因蛋白質である変異アンドロゲン受容体の毒性を抑制することを明らかにした。その分子機序として、CGRP1がc-Junのリン酸化を介してJNKシグナルを活性化すること、および変異アンドロゲン受容体の細胞毒性がJNK阻害剤によって抑制されることが示された。さらに、SBMAモデルマウス(AR-97Q)とCGRP1ノックアウトマウスを交配し表現型の解析を行ったところ、CGRP1の発現抑制によりSBMAマウスの運動ニューロンにおけるc-Junのリン酸化が抑制されるとともに、運動機能や生存率に有意な改善が認められた。CGRP1をターゲットとした治療法を開発するため、低分子化合物によるCGRP1の発現を抑制する低分子化合物をスクリーニングしたところ、naratriptanなどのセロトニン受容体アゴニストがCGRP1の発現量を低下させ、JNKシグナルを抑制することによって運動ニューロン死を抑制することが示された。NaratriptanによるCGRP1-JNKシグナルの抑制は運動ニューロン変性機序を抑制する治療法となりうると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではポリグルタミン病における細胞周期およびJNKシグナル異常の病態解明と治療法開発を研究目的としており、今年度の研究でJNKシグナルの異常による神経変性のメカニズムが明らかとなり、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は細胞周期の異常を介した神経変性のメカニズムについても解析を進め、JNKシグナル異常と細胞周期異常の関連についても明らかにしていく予定である。
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