研究課題
神経変性疾患である球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はポリグルタミン病のうちの1つで、難治性かつ予後不良な神経変性疾患であり、有効な治療法はこれまでのところ確立されていない。そこで本研究では、本疾患の病態メカニズムの解明と治療法の開発を行った。球脊髄性筋萎縮症(SBMA)はアンドロゲンレセプター(AR)遺伝子の第1エキソン内にあるCAGリピートの延長に起因する成人発症運動ニューロン病である。本研究では、CAGリピートが異常延長したヒト変異ARを発現する培養細胞及びトランスジェニックマウスモデル(SBMA-Tg)を使用して、生体内防御機構におけるmiRNA(micro-RNA)の関与を明らかにした。miR-196aを過剰発現させるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターをSBMA-Tgに投与すると、ARもターゲットとするRNA結合蛋白質であるCELF2の発現が低下して、変異ARのmRNA発現量が低下した。表現型を対照群と比較検討したところ、miR-196a投与群では、運動能、生存率、体重減少が改善した。また、miR-196a投与群では、変異ARの核内蓄積が脊髄および骨格筋で減少した。また、miR-196aは、変異AR を正常ARに比してより減少させた。投与群では肝機能、腎機能などに異常はみられなかった。miRNAは、細胞内に存在する長さ20から25塩基ほどの1本鎖RNAで、他の遺伝子の発現を調節する機能を有すると考えられているncRNAの一種である。その機能は遺伝子発現の抑制にあると考えられている。miRNA は一部のmRNA(大抵は3'側非翻訳領域)に相補的な配列を有する。このmRNAとmiRNAとの結合により、翻訳が阻害される場合、またRNA干渉のようにmRNAの分解を引き起こす。AR mRNA発現量の減少によって、SBMA-Tの表現型および病理所見も改善した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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