研究課題
脳梗塞の原因は脳血管閉塞であるが、脳主幹動脈閉塞に際する虚血重症度を規定する最大の要因は、ウイリス動脈輪、脳軟膜動脈吻合での脳側副血行発達の良否である。申請者はこれまで、慢性低灌流に対する脳血管の適応現象として脳軟膜動脈吻合での側副血行路発達(Arteriogenesis)が誘導され、主幹動脈閉塞に際する虚血重症度を著しく軽減する事、造血因子投与がArteriogenesisを促進しうる事を報告してきた。本研究では、造血因子の脳血管での側副血行発達の分子機序と側副血行発達への脳血管内皮機能の関与を解明し、虚血性脳血管障害に対して脳血行動態改善を標的とした造血因子の臨床応用に結びつける事を目的としている。本年度はマウス総頸動脈閉塞による慢性脳低灌流モデルを用いて、脳血管内皮機能不全を有するdb/dbマウスにおいて脳軟膜動脈側副血行発達促進効果を比較検討し、さらに急性高血糖モデルであるストレプトゾトシン投与マウスにおける側副血行発達程度についても検討した。コントロールマウスであるdb/+マウスでは、片側総頸動脈閉塞2週間後に脳表面での軟膜動脈吻合血管径が増大したが、db/dbマウスでは、片側総頸動脈閉塞後に有意な吻合血管の血管口径の拡大は観察されなかった。db/dbマウスでは、コントロールマウスに比し高血糖が観察されたため、ストレプトゾトシンを皮下注射し急性高血糖モデルを作成した。ストレプトゾトシンで高血糖に曝されたマウスでは、片側総頸動脈閉塞2週間後に有意な軟膜動脈吻合血管径の拡大を認めた。以上の結果より高血糖そのものよりインスリン抵抗性の存在が、慢性低潅流状態における脳軟膜側副血行発達を抑制していると考えられた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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Neurosci Lett
巻: 564 ページ: 16-20
10.1016/j.neulet.2014.01.053
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Doi: 10.1038/jcbfm.2013.112.
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